その3 午後の遊びは
「そう言えば午後はこっちでカブ二台を使っていいか」
これはアンドレア先輩だ。
「勿論です。ひょっとして午前中も使うつもりでした?」
「いや、午前中はサバゲだったからいいんだ。ただ昨日摩耶さんに作ってもらったコース、土も落ち着いただろうからそろそろ試してみたい」
今度作ったバイクコースは元田んぼだった場所に作った周回コース。
直線ありカーブあり段差ありの一周約一キロというなかなかのコースだ。
確かになかなか面白そうに思える。
「良ければ参加してみてもいいですか」
獣人サバゲは体力的に参加出来ないが、バイクなら僕も参加出来そうだ。
「勿論だ。皆で試走した後タイムアタックしてみようと思ってな」
「私は久しぶりにまた川漁をしたいのだ。新人が来るなら地の物で色々もてなすべきなのだ」
これは深川先輩だ。
「なら私ももう少し山菜やキノコを採ってきます」
これは金子先輩。
午後は主にこの三つの活動が行われる事になりそうだ。
なお美鈴さんは露天風呂の面倒を見てくれているとの事。
美鈴さんの行動範囲は露天風呂、ボイラー室、薪小屋兼作業場まで伸びている。
そこまでが家の範囲となっているらしい。
「亜理寿さんはどうする?」
「川漁の方へ行ってきます」
確かに亜理寿さんは川組の皆さんとよく一緒に活動しているしな。
真理枝さんは新人さんを誘った手前家で待っているとのこと。
さて、バイク組はいきなり走り出すのかと思ったらメンテナンスから始まった。
イライザ先輩とアンドレア先輩がそれぞれのカブのエンジンオイルを変え、ブレーキを点検し、空気圧等色々調整する。
「十分もかからないから先にレース場まで行っていてくれ」
そんな訳で僕らは歩きで整備したばかりのレース場へ。
なおバイク組は他には嵐山先輩、水梨先輩、薬袋先輩、
午前中のサバゲ組とほぼ同じ面子だ。
いないのは送迎中の摩耶先輩と家で待機中の真理枝さん。
多分摩耶先輩もこっちに合流するだろう。
レース場は家から見て西側、第二サバゲ場の先にある。
見ると地面こそ土だけれどかなりそれっぽく整備されていた。
コースの草等が綺麗に除草されているだけではない。
場内のコース以外の場所も高さ三十センチくらいに草が切りそろえ……もとい、焼き揃えてある。
おかげでレース場の全体が見渡せる。
「摩耶先輩もマメですね」
「本人が走る気満々でしたからね」
更によく見るとあちこち小さい杭が打ってあり、タコ糸で結ばれている。
「あの杭とタコ糸は?」
「あれで最初にコースになる部分を指定したんだよ。
結構大変だったようだ。
「朝からやって午後四時にやっと線引きが終わって、あとは摩耶ちゃんのお仕事だな。歩くのだけで疲れるとか文句を言いながら一時間ちょっとで整備してくれた。魔力切れと言って露天風呂でぐったりしていたけれどさ」
何か摩耶先輩に色々申し訳無いような。
ただ藪とかを拓くのには確かに摩耶先輩の魔法は非常に便利なのだ。
なので皆ついつい摩耶先輩に頼ってしまう。
「土も乾いていて走るのに支障無さそうですね」
確かに乾いているが除草したままでちょっと凸凹がある。
「この凹凸はいいんですか」
「取り敢えずオフロードレースという事でそのままだな。今日走って気になったらまた整備しようと思う」
「平滑化は亜理寿ちゃんにやってもらえばいいですがかなり魔力を使いますしね。それに平らにして貰った後に
なるほどな。
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