その4 魔法を使った山道開拓

 なるほど、これは早い。

 摩耶さんと亜理寿さんセットでの山道作りの現場を見て僕は納得した。

  ① 進路上の邪魔な下草等を摩耶さんが焼き払う。

  ② 道がついていない場所を亜理寿さんが氷魔法で浮かせて削る。

  ③ 氷魔法を使った場所は再び炎魔法で乾かす。

 これをリアルタイムでやりながら進んでいくのだ。

 歩ける程度の道ならこれで充分作れる。


「魔法使い同士の組み合わせって本当便利だよね。通った後に自動的に道が出来る感じで」

「最近魔法の使いすぎで魔力が上がってしまって困っているんだ。こんなに魔法を気軽に使える環境なんて無かったからな」

「私もですね。でも魔法を自由に使っていいというのは結構楽しいです」

「実態は魔法労働力の搾取に近い気もするけれどな」

 そんな事を言いながら歩いたり地形を見たりすること約二十分。

 家の裏の山の主稜線上と思われる場所へと到着した。


「看板用の板とか持ってくればよかったね。ここに道案内の標識を置きたいから」

「標識を作ってまたここに来ればいいよ。まだGWは半分以上残っているしさ」

「そうだね」

 あとは基本下る一方だ。

 サバゲ場の尾根経由で家の裏に到着。

 最後にあの竹小屋を確認。


「おー、これはいい感じだな」

「こういう雰囲気もいいよね」

 中へ入ってみたり水場の水を飲んでみたり。


「こうやってみると結構この一帯、開発したなあ」

「皆それぞれ違う処をやったからね。こうやって全体を見るのも結構いいよね」

「そこの竹小屋をもう一件、今度はあの滝の下に建てよう」

「でも遠いと維持するのが結構大変だよ」

 そんな事を言いながら帰宅。


 ふと気がつくと金子先輩がスーパーの大きなビニル袋を手にしている。

「はいお土産」

 金子先輩が美鈴さんに袋を渡す。

「今のコース、川沿いとか山とか結構色々生えてましたよ。キノコもちょっとあったので取ってみました」

「猫又の技能に山菜とかキノコの判別ってあったっけ?」

「これは趣味ですね」

 美鈴さんは新聞紙を広げ、その上に袋の中の収穫を並べていく。


「大体はこの前と同じですね。アイコ、ウルイ、シドケ、ポンナ、ワサビの葉。キノコはヒラタケ、ウスヒラタケ、ナラタケだそうです」

 いつの間に、という感じだ。

 まあ僕は列の最初の方を歩いていたし金子先輩は一番後を行ったり来たりしていたからわからなかったのだろうけれど。


「この人数ならキノコ汁もキノコたっぷりで食べられますね」

 美鈴さんがいかにもやる気満々で準備を始めた。

「でもこんなに採れるなら教えてくれても良かったのに」

「皆で採るほどの量は無いし、少しずつ頂いた方が長持ちしますから」

 なるほど。


 更に美鈴さんと金子さんが何やら会話。

「なら明日用に寝かしておいたうどん生地を使いましょうか」

「そうですね、皆でやりますしょうか」

 何やらわからないが会話した後。


「この山菜を活かすため、夕食はうどんに変更です。ついでですので皆で製麺してみましょうか」

 製麺?

 どんな事をするのだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る