第7話 GW三日目

その1 竹小屋完成

 今朝一番の仕事は小屋の屋根の取り付け。

 応援で亜理寿さんと深川先輩も来ている。

「川の方は一通り措置が終わったのだ。だから今日はまずここの様子を見るのだ」

との理由らしい。


 なお屋根の取り付けは紐で引っ張って持ち上げる方式。

 屋根を上まで導く為にガイド用の長い竹を二本切って持ってきた。

  ① これを上下逆に屋根に立てかけるように置いて

  ② 屋根を竹に立てかけるように置いて

  ③ 屋根の片側に紐を二箇所つけ、反対側から皆で引っ張る

という手順で屋根を上に載せる計画だ。


 色々試行錯誤をして何とか屋根が乗っかるまでに1時間かかった。

 乗っかった状態で引っ張っている紐をその辺に固定。

 ガイド代わりの竹を横に引っ張ると今まで組んでいた竹と屋根の竹が組み合わさって固定される。

 あとは念の為紐で何カ所か縛ってしまえば。

「完成なのだ」


 早速皆で中に入ってみる。

「壁に隙間があるせいか思ったより暗くないのだ」

 確かに壁にしている丸竹の隙間から結構光が入ってくる。


「台風とかが来ると別ですけれど、これはこれで涼しげですね」

「紐代とブロック代、計三千円強で出来たと思えば充分かな」

「何か秘密基地感があって楽しいのだ」

「ここ全体が秘密基地のような物だけれどね」

 確かにそんな感じはあるだろうな。

 僕にとっては家なのだけれど。


「他の皆さんはどんな感じでしょうね」

「料理組は美鈴さんを除いて由佳里の車で買い出し。サバゲ組が田んぼ跡にサバゲ場その二を構築中。ウサウサは畑の手入れ。あとはボドゲをやっていたり洗濯とかしていたりという感じかな」


「私とウサウサ、アンドレアは明日からまた授業なのだ。医学部は病院があるからGW中でも教官はだいたい居るのだ。面倒なのだ」

「薬学部も少しだけ授業がありますね」

「理と工は全部休みだな」

「羨ましいのだ」

 学部によってGW合間の平日の扱いがかなり違う。


「まあ開発計画は一通りやったから、取り敢えずは今の状況を遊ぶことかな」

「でも美久コンは他にも何か作ろうと狙っているという噂なのだ」

「ばれたか」

 稲森さんは肩をすくめる。


「でもまだ材料が足りないけれどね。中古でもいいからネットで安いのを探しているんだけれど、なかなか出てこない」

「何を探しているんですか」

「石油ボイラー」

 えっ?

 ボイラー?


「ボイラーって、あの湯を沸かす奴ですか」

「そう。ガス式でもいいけれど灯油の方が燃費が安いし楽かな」

「それで何を作るつもりなんですか」

「露天風呂」

 えっ。

 あ、でもそうか。


「確かに風呂の順番待ちが大変ですしね」

「そうそう。それにここだと汗をかくような事も結構やるから。だから露天風呂でもあれば多少人数が多くても何とかなるかと思って。入って気持ちいいし」


「それは楽しそうなのだ」

 深川先輩が真っ先に飛びついている。

 確かにそれも気持ちいいかな。

 そう思って少し考えて僕は気づいた。

 この人数比だと露天風呂、女性用だよな。

 どう考えても。

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