第5話 今度は参戦、GW初日

その1 GW前にお引っ越し

 今年のGWは四月が27土、28日、29祝と三連休。

 その後30火、1水、2木と平日が続き、3祝、4土、5日、6祝と四連休。

 しかし平日の三日間もほとんどの授業が休講という状態だ。

 比較的新しい大学だし田舎なので教官や講師のほとんどが単身赴任。

 なので皆さん家族の元へと帰っていらっしゃっている模様だ。

 まあ他にも学会とか色々あるようだけれども。


 僕と亜理寿さんは四月二十六日大学から帰った後、部屋の引っ越しをした。

 僕が美鈴さんの部屋にしていた二階西側のベランダ付き六畳、亜理寿さんが真理枝さんの使っていた東側六畳へである。

 理由は簡単。


「申し訳ないんだけれど、合宿状態で皆で泊まるとき、襖で二間続きに出来る下の八畳間が色々使いやすいんだよね。だからごめん、今更で何だけれど部屋取り替えて」

という訳だ。

 別に僕にどの部屋がいいというのも無いし、美鈴さんも了承済み。


「別に私の部屋を自由に使っても構わないですけれど」

「私の方が客が多いし申し訳無いから。美鈴さんもその方がいいって言っているし」

 そんなで部屋移動が決定し、即開始された。


 まあ例によって荷物は少ないし魔法使いが二人もいるので移動は簡単。

 なお魔法使いが二人いるというのは例によって小坂井ウサウサさんと摩耶さんの二人が前泊で来ているからだ。


「でも私は三十日も一日も二日まで授業があるんだけれどね」

「医学部は大変だな」

「でもまあ畑も順調だしいいけれどね」

 種を植えた人参や枝豆もしっかり芽が出てきている。

 天候がちょうど良かったようだ。


「明日からはどうする予定?」

「来るのは全部で二十人位かな。サバイバルゲームの他、オフロードバイクを持ち込むから走行会もやろうって。あと美久コンは休憩所を作りはじめるだろうし、バーベキューコンロも二つ持ち込む予定。バーベキューをやる訳じゃないそうだけど」

 何かもうやりたい放題。

 でも楽しそうだ。


「あと美鈴さんからのお願いが一件あります。田んぼの先を流れる川の上流にため池があるそうなんです。そこは本来この集落で管理していたけれど最近誰も様子を見てないから、良ければ見てきて欲しいそうです。またため池にある水田取水用の水門も動くかどうか確認して欲しいそうです」


「その辺は深川先輩にお願いすればいいかな。本来は水の専門家だし」

「SNSで連絡を入れておくな」

 摩耶さんがスマホを取り出す。


「川も使っていいなら更に色々出来るかな」

「この辺の川をガサガサやると何が取れるんだろう」

 ガサガサ?

 捜索差押えをガサとは言うけれども。


「ガサガサっているのは川で網を使って魚や小物を採る遊びのことだよ。関東周辺の川だと小鮒とかドジョウとか川エビとか採れるけれど、この辺はどうなのかな」

「水は綺麗そうだよね。でも水温が低めか」

「でも遊魚券とかはいらないのかな」


「そこの川は農業用水路で管理はここの集落だからいらない、そう美鈴さんが言っています」

「つまり今の管理者は文明君、要は私達のやりたい放題か。でもまあ川関係は深川先輩に任せておくか、全部準備してくれるだろうし」


「あとは狩猟くらいだよね。イノシシが背中こすった跡があったからこの山にもいる筈だよ。でも狩猟は免許取らないと駄目なんだよね」

「流石にそこまで大きい哺乳類の解体は自信無いなあ」

「人間ならやった事があるでしょ」

「解剖実習とは全然違うし」


 おいおい。

 どこまでやる気よ。

 取り敢えず明日からのGWで何処まで出来るだろう。

 今回は僕も参加予定だし楽しみだ。

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