その3 朝のお散歩
そんな訳で朝食前。
僕と
美鈴さんは家から出られないし、摩耶さんは『低血圧で朝は苦手』なのだそうだ。
そんな訳でまずは畑から。
「こうやって見ると結構広いな」
テニスコート二面分位の広さが綺麗に畑になっている。
まだ何も植えていないが畝とかあって確かに畑だ。
「摩耶さんに灌木だの雑草だのを焼き払ってもらって、その後を念入りにトラクターで耕したんだよ」
「随分きっちりした畑らしい畑だなあ」
「皆トラクター乗りたがって必要以上に耕したからね。土はいい感じに耕されていると思うよ」
「あとは
「そう。今日は真理ポンにも手伝って貰って頑張らないと」
そうして戻って家の横を通って山の方へ。
まずは谷沿いを少し歩く。
いかにもという感じで下草が生えている。
何か食卓で見覚えがあったものも。
「これってコゴミって奴?」
「そう。でも今残してあるのはわざと残している分。全部採ってしまうと来年の収穫が無くなるから」
そういう配慮も必要な訳か。
なるほどな。
そんな事を思いながら川っぽい石が多い道を上っていく。
そして突き当たったところの石の間から水が少しだけ湧いて流れていた。
「ここが水場。晴れているときはすぐに伏流水になって水が見えなくなるけれどね。美久コンが休憩所を建てようと言っていたのがここのちょっと広くなっている場所」
確かにちょっと高くなったところに平らな場所があった。
「夏でも涼しそうな場所だね」
「水が多いと沢歩きになるけれどね。でも良さそうな場所でしょ」
確かにいい感じの場所だ。
水場からちょっと戻って、右側の斜面についた道を上っていく。
竹林との境を割と急に上っていく感じだ。
「ここの道をつけるのは結構厳しかったなあ」
「竹はすぐ生えてすぐ伸びるしね。斜面の様子を見ながら昔の道に沿って焼き切って貰ったんだよ」
「摩耶さんこき使ったからなあ。でも便利なんだあの人の焼き払い魔法」
確かに所々土の色が黒い。
これってきっと焼き払った後の灰だろう。
あと所々竹を埋め込んで階段みたいになっている場所がある。
「この竹を切ったのを埋めてあるのは歩きやすくするためですか」
「そうだよ。あと土が崩れないように土留めも兼ねてる」
なるほど、その辺も気を配っている訳だ。
思った以上に丁寧な仕事をしている模様。
そんな感じで急な斜面を登ること五分少々。
竹林が切れて林になった場所で
「ここが通称見晴台。まあ見た通り家とか田んぼの場所とかが見える処」
振り返ると確かに家周辺が一望出来る。
「上にもまだまだ道はあるけれどね。でも綺麗に整備できたのはここまで。ここからはまた摩耶さんに頑張って貰わないと」
「でも今日からはチェンソーや刈り払い機も使えるからね。大分進むと思うよ」
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