家
シディはマリネットの店に行った後、シディは上司という立ち位置なのだがヨダをこちらから呼び出した。友人だから許される行為だ。
「ワルレスという元商業人について探ってくれ」
「仕事ほったらかしたと思えば次は頼み込みか」
「悪いな、こっそりと頼めるのはお前しかいないんだ」
ヨダは溜息をつきメガネをかけ直す。
「条件は飲むが理由と状況を教えろ」
「全て終わればいち早く教える、これじゃダメか?」
ヨダは怒り出して俺に突っかかってくる。
「ダメに決まっているだろ! ありえんと思うがもし貴様が犯罪に手を染めたのなら俺はそれに加担した事になる」
確かにその通りだが、いちいち説明するのが面倒だが説明することにした。カレンの呪い持ちはどうするか悩んだがヨダが言いふらさない事を信じて説明した。
「事情は読めた、貴様は大量の始末書を書かされる事になるぞ」
グレーだがいくつか違法行為を自分もしでかしてる事になる。まずは事件の一部隠蔽、独断捜査、報告無視。数えると頭が痛くなる。だが自分のやりたい事をやる性格の自分にこの程度は気にしない。
「何を今更」
「だから貴様は……くっ…………わかった、わかり次第連絡しよう」
「悪いな、本当に」
「そう思ってるならさっさと出世しろ、そして俺と肩を並べる存在になれ、俺ほどじゃないが評価されるべき人間だ」
「俺が評価されるのは魔法の腕ぐらいだな」
ヨダと話した後、カレンの家に行った。
クリンファンシーの部屋にシディは入る。部屋は木製のデスクとベッド、他にはランプ、目立ったモノはない。
カレンから父親の部屋は何も情報を得られるモノは無かったと言ってたが意外にも見つかるかも知れないと微かな希望を俺は望んだ。
「シーニ」
杖を取り出し俺は視覚強化の魔法を使う。
目が熱くなるのを感じながら部屋を見回る。
何か、手がかりになるものは…………ん?
シディはデスクの引き出しにケブリの花が入ってある。ケブリの花は別名人を食う食人植物。だが育つ前に自分の血を肥料にするとそいつを主人と認識して食う事は無くなる。
基本、金庫代わりとして使う人間がたまにいる程度だ。だがケブリは枯れてない、最近育て始めたか。
「なあ、ここに人食い花がいる事は知ってるか?」
カレンは首を傾げる。
「この引き出しにケブリがいるんだよ、知ってたか?」
首を横に降る。
「なら最近仕掛けられたって事か」
俺は杖を構えながら引き出しを開けようとするが開かない。鍵がかかっている。
引き出しをよく見ると小さな鍵穴が存在していた。
「鍵は持っているか?」
「多分……持ってないです」
仕方ない、無理矢理開けるか。
もう一度杖を構えて引き出しに手を添えようとする。
バサバサとキツツキが窓の外から叩いて来て手が止まった。
ヨダか、流石調べるのが早い。
「なんなんですかあれ?」
「知り合いに軽い調べ物をしてもらった」
窓を開け、苦しそうに床にへたれたキツツキの背中に貼り付けられた封筒を取った。
封筒を開けるとワルレスのことについて描かれていた。
ワルレスは商人時期だった頃は裏で違法取引を繰り返しそれがバレて幽閉される。解放されてからはクリン・ファンシーを脅し金をせびるがその後、名前をガラーに変えてせびった金でまた商売を始め繁盛し結婚して子供をもうける。
だが三週間前に病にかかり命を落とした。病は魔獣化、突然肉体が変化していき腐ったらしいが家内は金目当てで結婚した理由もあってか事件性を求める事はなかった。
これじゃあ既にクリンファンシーの復讐は終わってる事にならないか?
なら普通は娘に、代償が酷く、顔が合わせられないほどでも何か手紙でも残しているはずだ。
カレンがなんて書いてあるのか顔を伸ばして見ようとする、俺は悩みながらも手紙を渡して質問をする。
「最後に家で何か探したのはいつだ」
「二週間前ですけど」
俺は部屋から出て家中を探しまくった。
ケブリの花がいつ置かれたのかは知らないがこの1ヶ月、その間にカレン以外の人間が置いて行ったのは確かだ。
目がシーニで負担がかかりながらも探しまくりカレンの部屋に鍵が見つかった。サイズ的にあの引き出しと同じサイズだ。
息を切らしながらさっきの部屋に戻るとカレンはただ座っていた。泣きそうな顔のままただただ座っていた。
手紙を見て父親が本当に人を殺してしまったんだと確信したのだろう。
「これ、本当ですか?」
「かもな」
俺は鍵穴に鍵を入れて杖を構える。
「マルク」
開ける前に睡眠魔法を先にかけるが一応油断せずゆっくりとゆっくりと引き出しを開ける。
ケブリの花はぐっすりと眠っており俺は安心したままケブリの花を退かす。ズッシリと重い巾着袋があった。
中身を開けると大量の金、少なくとも数年は不自由はない。そして手紙も書かれてあった。ミミズのような字だったがこう書かれてる。
『カレン、突然お前の前から姿を消したこんな身勝手な私を許してくれ。私はお前を愛している、だからこそ私はやるべき事がある。もうお前と二度と会えないかもしれないがそれでも強くいきて欲しい。お前のために少ないけど貯金を残しておいた、本当にすまない、こんな私を許しておくれ』
そして手紙には黒い血が少し付いてあった。
俺はカレンに手紙を渡した。
カレンは手紙を内容を見ていく度に涙を流した。
「なんで……なんで……こんな事望んでないのに……っ!」
だが、これで全て謎が解決したわけじゃない。
クリンにカルトを殺す理由が見つからない。だが俺は半端分かった気がする。
この事件は最初からズレてたんだ。考え方を変えれば謎は解ける。
後は、アイツを見つける事だけだ。
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