第3話
最近、この街【リーザ】から離れた精霊の森でフェアリーが行方不明になる不振な出来事が多々あった。
フェアリーといえば希少価値ある故か裏オークションで高値で売れるが飼う、狩るを禁止とされている。
とはいえ犯罪者達は法や魔法機関の目を欺き違法販売を行う者もいる。中には魔法機関に賄賂まで払って手を組む者もいると噂になっている。
さっきまで燃えていた男もその一人だ。
「ハァハァ……お前がフェアリーの違法取引をやってることは知っている……」
「ンガンガ」
ピューイは女と思われたいなら髪を伸ばせばいいと言っている。
「確かに……違う、今その話じゃない、知ってる事を教えろ。話せば命までは取らない」
元から命を取る気はないが脅すにはこれが効く。
「下っ端の俺は何も知らねえんだよ! ただブツを運べって命令されて運んでるだけだよ!」
「本当か? なんなら、魔法を使って無理矢理聞き出すことだってできるが……もし嘘なら分かってるな?」
男は苦い顔に変わっていった、勿論これも脅しだがかなり効いている。
「うっ…………本当に命は助けてくれるんだな……?」
うなづいた。
「なら……俺が言ったって言わないでくれよ……」
「わかった、約束は守ろう」
「俺が下っ端なのは本当なんだよ……誰にフェアリーをやるのかも金持ち程度しか知らねえ、ってか俺だけで情報が分かるわけないだろ?」
「魔法機関の杖を持ってなければな」
本来、杖を持つには資格がいる。魔法機関で働くか、魔法学校(生徒は許可が無ければ魔法を使うのは禁止)魔獣狩り等あるが奴は只の民間人にしか見えない。それに加えて魔法機関の証明書とも言える葉っぱのバッチを付けてない辺り裏がある。
「これは……コンって人に貰った」
貰った? それを聞いてカナンはグイグイ顔を近づけて迫っていった。
「どこで、誰に、どんな奴に、貰った!?」
「ま、待ってくれよ……」
「ンガンガンガ」
お腹空いた。
「後でお前の好きな蜂蜜漬けのリンゴを食わせてやる、だから黙ってくれ」
「ンガ!? ンガンガンガ!」
「……だから静かにしてくれ」
「ンガンガ!!」
わかった。
「何もわかってないじゃないか!」
すると突然、男はププッと笑いかけていた。
「何がおかしい?」
「いやあんたらさっきと違って面白いから……」
軽く睨むとヤバイと男は危険を感じたのか、首をぶんぶん横に振った。
「何も笑ってません」
「ならいい、始めてくれ」
あれは三日前の話だそうだ。
男は前から表じゃ口に出せない物を運ぶ、運び屋として裏稼業では名が知れていたらしい、そんなある日、コンって男と出会った。
「コンは仮面を被ってて声からして多分男なんだろうけど、普段些細なことでもキレまくるウチのボスが頭ペコペコしてんだから偉い人だとは思う」
「それで」
「コンは俺に仕事をくれたんだ、聞いた時は目が飛び出たさ」
「それがフェアリーの取引か?」
「ああ、フェアリーを【ペールジール】にまで持って行ってくれってんだよ」
ペールジール、いわゆるセレブ以外はお断りの街のイメージが私達庶民には付いているが、噂では金と権力を巧みに扱い些細な犯罪だろうが違法だろうが貴族達がやりまくってると聞く。
所詮噂だが、九割は本当の事だ。何故かと言われると実際行った事がある、師匠のせいで。
「けどよ、ペールジールは権門がキツイし城門前で魔法機関の人間達が警備してんじゃん、俺もうダメだって思ったよ。なのにスンナリと入れて神はいるんだってその時は宗教的に入る事を決めたさ」
「実際は賄賂か何かで話を通して貰ったんだろう」
「そう、フェアリーを路上に住む変な爺さんに渡したらそれで俺の仕事は終わり、後でリーザに戻ってきたらあの人からお礼にって杖を貰ったよ。その時全部繋がってさ神はいなんんだなって、あるのは金か権力かってさ」
話は読めた、今回のフェアリーの事件は魔法機関の人間が絡んでると見ていいだろう、ただ魔法機関の人間は当然無能ではない、内部で犯罪を許してる事は相当の手練れと考えるべきか。
「これで本当に終わりだよ」
「そうか、ありがとう」
色々考えるのは帰ってからでいい、今はやるべき事をする。
カナンは男に杖を向けた。
「えっ……助けてくれるんじゃ……」
「記憶を消すだけだ、おやすみ」
「ま、待てっ、俺は何も話さないか……」
男は最後まで何か言おうとしてその場で倒れ込んだ。
「ンガンガ」
さっき自分達に話してたのによく言えるな。
「そうだな……帰ろうか」
帰ろうと行った瞬間、ピューイから抱き抱えられて私は驚いた。
「な、何をするっ!」
「ンガンガンガ」
「早く食べたい? リンゴは逃げなっ……いからぁ!」
ピューイは飛んだ、私はクビが痛いのに鞭打ちを食らった。
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