第5話

そして黒猫…もといライは私がなぜこのような状況になったのかを話し出した。

「本来地球の守り神はたくさんいました。しかし、人間の都市化が進み、守り神の住む神社、森が減少し、強いと言われた守り神は次々と弱々しくなっていきました。そんななか、この状況をなんとかしようとしたのが、あの白色の狐、ハクハシン様です。ハクハシン様は、狐の体ではそう長くはいられない、だから死ぬ覚悟で人間に自分の力を投げ入れる決断をされました。そしてその最もハクハシン様と合う適正があなただったのです。翼様。」地球がどうとかわからないけどなんだか大変そうに私には聞こえた。

「それでそんな力を手にしてどうするの?」

私はそこに最も疑問を抱いた。だって大きな力を手に入れようと、何もすることが無いんじゃ、痛み損である。

「はい、そもそも狐の神は最強なのですが、それに挑んでトップになりたいという輩が大勢狐様たちに挑んできます。なので、そいつらをやっつけてほしいのです。ぼこぼこに」

こいつ敬語なのになんか怖いな、と思ったがその内容の方がわけわからない。

「その挑んでくるやつらは今まで、狐の神を倒すことを目標に強くなっていったので、狐の神以外興味はありませんでした。しかし、狐の神が衰弱している今、そいつらは違うものに興味を持ち始めました。人間です。最近そこかしらで不可解な殺人事件が多発しています。」

「え、私のとこにもくるかもってこと?」

「その通り。なので神と人間を倒そうとしている不届きものを倒しましょう」

私は少し考え込んだ。そのようなことをして何になるのだ、もし父みたいな人を助けても、何もいいことが無いじゃないか。それに私には地球の未来より明日のご飯の方が大事だ、するとライは私の考えを読んでいるかのように言った。

「もしてつだってくれるのなら三食つきの衣食住を完璧に揃えてご用意しますが?」

「やります!」はっ、つい口車にのせられてしまった。けれど今までの生活を思い返すと、ご飯を食べられない日なんてざらにあったし、三食あるだけましだ。

「それでは契約終了です」そう言うとライは突如背の高い男の姿へと変身した。すると

「さぁ参りましょう」とライは私を抱えてどこかへ飛んでしまった。

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