第27話
僕らが新しい大陸に渡り酒場に到着したころ、僕らは懐かしくて嫌な奴らと再会していた。鷹の爪のアレックスたちだ。アレックスたちは、お前たちは……!と言って怪訝そうな顔つきでエールを飲んでいる。その酒は不味いのか。
「お前たちも魔王を倒すためにここまできたのか、だが無理だな。あの岩山に佇む城に潜入にするには飛ぶことが必要だ、魔法使いが飛べる呪文を習得するにはレベル40は必要だ、ここいらの敵は一筋縄ではいかないぜ」
「だからあたしたち、雑魚狩りだけしているの、なかなかよ」
裸同然の綺麗なお姉さんたちが、キャッキャと騒ぐ。鎧に包まれているとはいえ可愛いメリッサと鼻毛が出てるとはいえ美人のサーシャがいるのだ、こちらだって負けていない。僕らも負けずとエールとつまみを頼み、そのエールの水のまずさに吐き出しそうになった。うちのパーティーはこれまずいですねとは言わないいい子たちだけでよかった。
「ここいらの水は硬水なんだよ、癖がある、向こうの大陸から渡ってきた人には飲めたものではないね」
酒場の親父が苦笑しながらそういうと、なるほどといってイリアが半分ほど残しギブアップといってつまみだけに手を伸ばしていた。まだ敵に遭遇していないがこのあたりの敵はかなり強そうだ。水が飲めないということは少々厄介だ、季節は冬を超えてやっと春にさしかかる、そうもう一年だ、アッというまの一年だった。だがこの大陸の春は少々様子が違っていた、花が咲いていないのである。土地が枯れているのだ。
「魔物だけがうろつく地獄のような場所だ、水も飲めない、花も咲かない野菜も作れない……住んでいる人々は牛や馬の肉だけを食べているんだ」
酒場の親父がそう呟きため息をついた。なるべく早くそんな場所は出たい。
「お兄ちゃん雑魚狩りにいってレベルあげしましょう!」
サーシャが鼻毛が出たまま僕と腕を組む、引っ付くな鼻毛のくせに。
「ここいらの敵は一筋縄じゃいかねえ、四人ぐらいじゃ倒せないかもしれないぞ」
酒場の親父は不安げなことを口にしたが、僕らは構わず外にでた。何としてでもレベル40にはなってみせなければ。
そうしてすぐにエンカウントした。ここはエンカウント率も高い。アシッドゴーレムが三体。こいつは防具を腐らせてくる。マジビンボーみたいなやすっぽい魔王軍を相手にしまくっていた僕らにはこいつらはあまりに強敵だった。デオナズンを弾き返し、イリアの弓を粉々にし、メリッサの剣を通さず、最終的に肉弾戦でなんとかボロボロになりながら倒した。そうしてアシッドゴーレムから少し重い金貨が取れる、ここいらのモンスターは魔王の直属の部下で金貨に魂を込められて動いているのである。金貨は一枚10000オンス、僕らは大金持ちだ。しかしここいらは物価も高い、宿屋に泊まるのにも一苦労しながらまずい水を水筒に入れ、僕らは戦うのであった。
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