第17話
ランティス大陸には有名な港町があり、僕らはそこを目指して徒歩で歩いていくことにした、途中で出会ったさまざまなモンスターを命からがら倒してきたものだから疲弊してすっかり、ボロボロになった状態でたどり着いたときにはもう日が暮れていた。
「お兄ちゃん!よさそうな宿屋があるよ!」
たわわな鼻毛の出た妹が振り返ると疲れていたせいかやはり笑ってしまう。
頭にはてなマークのついた妹は不思議そうな顔をして僕の顔を覗き込んだ、変なお兄ちゃん。そう言って宿屋のベルを鳴らす。変なのはお前の鼻毛だ。これ以上笑わせるな、疲れているのに。
「アレスさん、すっかり疲れましたね、ここは温泉がでるらしいです、さっき通りすがりのおばあさんが教えてくれました。」
薬草投げのイリアが話しかける、お前どういうつもりだ。
そうして無言でメリッサが倒れこむ。
「メリッサさん!」
イリアが駆け寄ると、しどろもどろになりながら呟いた。
「……おなかすいた……」
「メリッサさん!なにか美味いものでも食べましょう!」
そう言ってイリアがてを引こうとするとその手を跳ね除けてそそくさと移動していった。
「嫌われてしまったのでしょうか」
「メリッサは不器用なだけよ」
慌ててサーシャがフォローするとがっくりと肩を落とすイリアの背中をぽんぽん叩いた。エルフの華奢な体はぐらついた。
「サーシャ、壊れる」
「あら本当」
叩かれた背中をさすりながらイリアが涙目になっている、エルフというものは脆いものだ。だから乾布摩擦を欠かさないのか。いやたんにアホなだけだと思うが。
「あなたがた人間と違って繊細にできているので強く叩かないでください」
「そんなことよりメリッサはどこ行った?」
ふらふらしながらどこかへ消えてしまったメリッサはどこへ行ってしまったのだろう、サーシャがきっとどこかでワインでも飲んでるに違いないよと言ったが、あの様子だとレストランに入る前に力尽きてどこかで野たれ死んでるかもしれない、そんな趣旨のことを話すとイリアがすこし考えた様子で探しましょうと一言言い、そそくさと姿を消した。そうだねと妹も同意して妹もほどなくして姿を消した。本当にどこかで倒れてなきゃいいが。僕が急ぐと路地裏で倒れこんでいるメリッサを発見した。
「おい!おい!メリッサ!」
僕の問いかけに返答はなかった。僕は鎧で重たいメリッサをおぶってみんなと合流した。
「メリッサ起きて」
「うーん…」
サーシャの声には反応した。
「ご馳走を食べに行くぞ」
「あ、ビールも美味しいらしいですよ!」
「ビール……」
イリアの言葉を繰り返す、壊れた人形か何かのようだなメリッサは。たくさんの皿が運ばれてくる中で一心不乱にメリッサが食らいつくしていく、あの細身の体のどこにそんな量の食事が入っていくのだろう。皿をからにした僕らは代金を払い、予約してあった宿屋の一室に篭もった。小ボスの名はエンドラというらしい。様々な情報を得た僕らはボスを倒すべく計画を練るのであった。
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