第18話

次の小ボスはエンドラという。なぜか僕らの掴んだ情報にはそれ以外の何も隠されていない様子であった、酒場で粘って話しを聞いてもそれ以外の情報が手に入らないのである。理由はすぐにわかることになった、


「エンドラは戦った相手をひとおもいに殺してしまう、なので生きて帰ったやつはいないから情報がないんだ」


戦々恐々としたその情報は僕らを震え上がらせるのにそんなに時間はかからなかった。デアゴオミーラのときのように戦線離脱したボスが相手ではない、今度の敵は命がけで戦わなければならない相手のようである。


「こう、遂に来たって感じですね、ガチのやつが」


イリアが腹筋しながら苦し紛れに物を言う、アーチャーに筋肉など必要なのであろうか、だけどだめだ、冷静になっては負けてしまう。

僕は薬草を食ってもかまわない。言いたいことは色々あるがここはリーダーとして冷静にいなければならない。妹の鼻毛にこらえきれず、最近笑い出してしまっていることを反省しながらメリッサのほうを見た。メリッサはまた寝ていた。こいつは本当によく寝る奴だ。メリッサは気づくと食うか寝るかどっちかしかしてない。


「うーんもう食べられないよう」


メリッサは夢の中では饒舌だ。ていうか、どこまで食べるつもりなのか。食欲旺盛なのはたいへん健康的で結構なことであるがさすがにひくほど食べるのはどうかと思いつつ、観察しているとニヤニヤしている。よほど美味いものでも食っているのだろう。そして問題の妹だが今日も鼻毛が出ていた。何事もないいつもの光景が広がっている、これが血を血で争う戦の前触れとはとても思えない、今度の敵エンドラはやばい奴だ。僕ははがねのけんを振るった。一振り、一振りしていく中で冷静になっていくのが感覚としてわかる、鼻毛がでてる魔法使いの妹と細身のエルフと眠り姫のクルセイダーと共にエンドラを退治に城に乗り込むのだ。僕は武者震いをしてくるのを感じていた。何はともあれ危険な敵だ、何より自分の命を守るように心がけるようにそう指導すると全員わかったといって素直に聞いてくれた。さあこれで最後かもしれない温泉に浸かり、暖かい布団で寝よう。エンドラという未知の脅威に怯えながら。

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