第15話
4人になった僕らは戦利品である鍵を使って祠の鍵を開けることに成功していた。
鍵はカチャリと音を立てて簡単にはずれた。
「お前たち準備は万全だろうな!?」
後ろを振り返ると、イリアは髪の毛を梳かし、サーシャとメリッサはあやとりをしていた。
「おまえら……怒るぞ」
僕が怒っても大して怖くもないことを知っているみんなは華麗にスルーした。
まだ出会って間もないメリッサだけが僕の方向を見た。
でもちらと見ただけで無反応な周囲を見渡し再びあやとりに行じる。なめられたもんだな。僕は悲しくなってしまった。
「新しい大陸には何が待ち受けているのかしら」
あやとりをしながらちらともこちらを見もせずサーシャが話しかける。
「あ……サーシャさん、次の手で東京タワーができますね……」
「あ、本当だわ、ラッキー」
妹はあやとりをしながら何かの作品を作ってしまったらしい。そんなことはどうでもよいのだ、次の大陸へ渡る準備をしなければならないというのに。
「大丈夫ですよ、薬草100個も買いました、準備は万全です」
イリアがさっきから持ち歩いてる大きな袋の中身はそれだったか、やけに大きな荷物を抱え込んでいると思っていたのだ。
「お前、キュアが使えるんだからそんなに薬草はいらないだろう」
「いや万が一ということがあるでしょう、僕のMPはそんなに多くないんです」
「常識的に考えてその薬草の量はせめて半分にしろ!」
「いやです」
このアホには何を言っても無駄なことは長い間行動を共にしてわかっていたことだった。仕方がない、寝ている隙に薬草の量を減らそう。僕は溜息をついて自分の防具がこの大陸で一番いい物であることを確認した。
はがねのよろい、はがねのけん、てつかぶと、はがねのたて。
どこからどうみても鎧を着込んだ立派な戦士だ。
それに比べてイリアの防具はかなり軽いものである、アーチャーなので防具をあまり装備できないのだが、不安が残る。
「大丈夫ですよ、弓も新調しました、防具は遠くから狙うのであまり強くなくてもいいんです」
イリアの弓はクロスボウのいいやつだ。メリッサはもとから重装備で文句のつけどころのない装備をしている、問題は妹だ。
「おまえ!ワンピースはやめろって言ったじゃないか!」
「いやよ!」ぷいとむくれてそっぽを向いた。こいつもどうしようもない、鼻毛がでてるくせに。
「さあ、大陸へと渡るぞ!お前ら準備はいいか!」
気のない返事が返ってくる。
「おまえらやる気はあるのか……」
「……一応……」
メリッサが久しぶりに口を開いた。どこであつらえたかしらない立派な装備品がキラキラと光っている。
「さあ、扉を開くぞ!」
僕らは新天地への扉を開いた。さあ、今度はどんな敵が待ち受けているだろう。
若干ワクワクしながら多少の不安を残しつつ僕らは次の大陸へと渡った。
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