2 チーム・フェレット
彼らチーム・フェレットは元々がスクールカースト最下層の
それが、一年前にサスガ・ナガレというドライバーを得てから事情が変わった。
両親はなく、有力な
これにはスクール中が震撼した。
「やめとけやめとけ!」同級生たちが慄きながら忠告してきた。「ナガレ=サン、お前が挑発したミズタ=サンは有力旗本の生まれだし、ジュニア・ハイの全国ベスト8だ。勝てっこない」
ナガレは歯牙にもかけなかった。
「だから何だ? ミズタ=サンより強い奴が七人もいたっていうことじゃないのか」
無茶苦茶な算数は同級生たちを更に震撼させた。
ナガレの放言は当然当人の耳に入った。ミズタ・ヒタニはかのどこの
ミズタの剣幕をチームメイトのコージローが報告した時、ナガレは寮の自室で新発売食玩イクサ・フレーム・プラモデルを筆塗装していた……。
……ここに至っては最早進退極まれリ。チーム・フェレットは覚悟と、トーナメントの正式初参戦を決めた。その際にはジョックスたちが有形無形の嫌がらせを仕掛けてきたが、スタッフは一致団結してこれらを退け、あるいは無視し、あるいは叩き潰してきた。
飛ぶように1年が過ぎ、トーナメントが始まった。
ミズタとの戦いは奇遇にも一回戦。開始5秒、鮮やかな
ナガレの勝利宣言をブザーが告げる。
3秒後、溢れたのは怒号にも似た喚声だ。まさに
コクピットから降りたミズタは悔しさより驚愕を表情に貼り付けていた。
「負けた? 俺が?
ミズタは祝勝会となるはずだった場で何度もそう繰り返したという。
一方でナガレは拍子抜けした感じだった。
「牽制のつもりだったんだけどな…」
ぎょっとしたチームメイトの顔を見比べ、ナガレは大笑した。
「まあいいや! 次行こう次!」
ナガレ自身は考えてさえいなかったが、この
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