第15話 決勝戦、先鋒
ここは代々木の体育館。渋谷区剣道大会女子団体戦が行われている。
「渋谷高校と恵比寿高校の決勝戦を始めます。礼。」
「お願いします!」
遂に決勝戦が始まった。
「私に任せなさい! 主将として大金星をあげてみせる!」
渋谷高校の先鋒は猿野楽子である。
「楽子は負けるでしょう。」
「相手は恵比寿高校の主将だもんね。」
「あなたたちが勝てばいいのよ。」
栞、泪、結は楽子に勝利など期待していない。
「こらー!? 私を応援しろ!?」
楽子は実力がないので怒るに怒れない。
「先鋒、前へ。」
「ラブリー、がんばって!」
「お姉ちゃん、気合入れていけよ!」
「主将! ファイト!」
恵比寿高校剣道部の方が一致団結してラブリーを試合に送り出す。
「私を応援してくれる部員のためにも、私は勝つ!」
主将として恵比寿高校剣道部員のラブリーへの信頼は厚かった。
「はじめ!」
「でやああああああああ!」
いつものように楽子は竹刀を頭の上に振りかぶり突撃する。
「素人め。返り討ちにしてくれる。」
ラブリーは楽子のガラ空きの胴を狙おうと思っている。
「なあに!?」
突然、目の前から楽子が消えたと思ったら、ラブリーの目の前に一瞬で間合いを詰めて現れた。
「もらった!」
楽子がラブリーの面に竹刀を振り下ろす。
「させるか!」
火花が飛び散る。ラブリーが楽子の打ち下ろした竹刀を竹刀で受け止める。この咄嗟の判断はラブリーが真面目に剣道と向かい合い練習してきた努力と汗の賜物である。
「う、受け止めた!?」
楽子は自分の攻撃が防がれたことに驚く。
「使ったな。また! 魔法を使ったなー!」
ラブリーは竹刀を押し楽子を吹き飛ばす。
「ちっ、バレたか。」
「相手が油断している先鋒戦で一勝しちゃおうと思ったのに。」
「魔法なんて、セコイことするから相手が怒るのよ。」
結は優雅にお茶を飲んでいる。
「おまえも魔法少女だろうが!?」
「お茶を飲んでくつろぐな!?」
「正々堂々と戦って、あなたたちが勝てばいいだけでしょう。」
これでも魔法少女の三人は仲良しである。
「ああ~、ヤバいから怪獣ちゃんの個人戦のネタを使ってしまった!?」
「こうなったら、敵の魔法少女も魔法を使ってくるわよ!?」
「そうかしら? 向こうさんは魔法で強化してもらうことを拒否しているみたいだけど?」
「なに!?」
恵比寿高校剣道部サイドも狸子がラブリーに尋ねる。
「今のはスピードアップの魔法だ。こっちも使おうか?」
「いらない。私は子供のころから剣道一筋に取り組んできた。今のモデルの仕事も剣道で強いから注目を浴びて、いろいろな仕事の幅を広げている。だから、私は私の剣道を信じる!」
「分かった。なら、魔法は事前に話合った魔法しか使わない。」
「ありがとう。狸子。」
狸子もラブリーを信じている。
「ちょっと待て!? 魔法少女の私たちの方が主役なのに、私たちの方が悪者みたいじゃない!?」
「ヒールだ。我々はギャグ漫画のヒールキャラのようだ。」
「だから言ったのよ。嫌な気持ちになるなら、いかさまなんてやめておけばいいのに。」
「結! あんたは負けてもいいっていうの?」
「それは困る。」
「楽子のスピード・アップ! エル・エル・エルメス!」
「楽子のパワー・アップ! ルイ・ルイ・ルイヴィトン!」
「楽子のディフェンス・アップ! ティファ・ティファ・ティファニー!」
栞、泪、結の魔法少女の三人は勝つためには手段を選ばない。
「今度はこっちの番よ!」
「そんなもの、光のシールドで防いでやる!」
ラブリーが攻撃するが楽子を光のシールドが守る。
「ブレイク!」
ラブリーの竹刀が光を放ち光のシールドを破壊する。
「1本! それまで!」
「なにー!?」
狸子はラブリーの竹刀に魔法をかけて光のシールドを破壊する魔法をかけていたのだった。目を丸くする魔法少女3人であった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。