第16話 決勝戦、次鋒
ここは代々木の体育館。渋谷区剣道大会女子団体戦が行われている。
「狸子、ありがとう。」
「どういたしまして。」
「お姉ちゃん、ナイス!」
「主将カッコイイ!」
恵比寿高校剣道部はラブリーの勝利を部員全員で称える。
「次はあなたの番よ。メアリー。」
「任せて! 必ず勝利で続くから!」
恵比寿高校剣道部の次鋒は恵三姉妹の次女メアリー。
「最悪だー!?」
一方、渋谷高校剣道部の雰囲気は最悪だった。魔法で体に負荷がかかった楽子は目を回して倒れている。
「魔法を使ったのに負けるって、どういうこと!?」
今までの全作品全話、困ったら魔法を使って解決してきた。まさか、剣道ごときで魔法が破られるとは。
「しかも人間の精神力に負けた!?」
「剣道、侮れないスポーツね!?」
栞、泪、結の魔法少女3人に動揺が走る。
「こうなったら次のドキ子は魔法力の温存のために捨てて、中堅からの私たちで勝つしかない!」
「おお!」
気を引き締める栞たちであった。
「酷い!? 栞ちゃんたちはドキ子が勝つことを応援してくれていないのね!?」
土器ドキ子は栞たちにガッカリした。
「でも、友達の谷子ちゃんは私が勝つことを応援してくれているわよね?」
「う、うん。」
谷子に迫り無理やり応援させるドキ子。
「次鋒、前へ。」
「見てなさいよ! アルティメット・ドキ子の実力をみせてあげる!」
ドキ子は戦いに望む。
「こいつも何か魔法で強化されているのか!?」
対戦相手の恵比寿高校剣道部の次鋒、メアリーは油断せず注意深くドキ子を観察する。
「そんなに見つめないで。ドキ子が可愛いのは分かるけど。」
「はあ?」
「サインは後にしてね。インスタのフォローよろしく。ドキ。」
「結構です。」
メアリーは丁重にお断りをする。
「はじめ!」
「でやああああああああ!」
ドキ子は普段通り竹刀を振り回して突撃する。
「何がくる!? 瞬間移動か!? それとも乱れ打ちか!?」
メアリーは注意深くドキ子の動きを観察する。
「あの子に魔法はかかっていない。」
狸子がドキ子には魔法によるパワーアップは無いと言う。
「なら、ただ単に竹刀を振り回しているだけだというのか!?」
「ドキドキ!」
メアリーは竹刀を振り回すドキ子を警戒し過ぎていたようだ。
「脅かしよって。勝負をつけてやる! でやああああああああ!」
メアリーはドキ子のテリトリーに踏み込んで攻撃を仕掛けようとする。
「引っかかったわね!」
「なに!? やはり罠か!?」
その時、ドキ子のお面の顔の網のような部分が外れる。
「ヒャアー!」
そしてドキ子は空気をお腹一杯に吸い込む。
「いったい何をする気だ!?」
「魔法ではない何か!?」
一同がドキ子の変な体質を目の辺りにする。
「怪獣ちゃん、耳栓。」
「ありがとう。栞お姉ちゃん。」
渋井姉妹は耳栓をして、衝撃に備える。
「ドッキドキー!!!」
ドキ子は口からドッキドキーと言う大型の文字を吐き出す。
「ギャアアア!?」
ドッキドキーの文字はメアリーに命中し場外に吹き飛ばす。
「一本! それまで!」
不意を突かれたメアリーはかわすこともできずに吹き飛び気絶している。
「メアリー!?」
恵三姉妹のラブリーとユウリーも、魔法少女の渋井狸子も唖然として動くこともできなかった。
「やったー! 勝った! ドキ子の勝利だ! ドキ。」
「やっぱりドッキドキー砲だったわね。」
「耳栓しといてよかった。」
渋井姉妹は知っている。過去の作品より、ドキ子が口から文字を吐き出すことを。魔法を超えた別次元の生き物である。
「ドキ子カワイイでしょ? ドキ。」
「カワイイ。うん。カワイイ。」
「カワイイと言わないと何をされるか分からないので怖いです。」
渋井姉妹の本音である。
「ドキドキさせちゃうぞ! ドキ。」
ドキ子は魔法を超える。
つづく。
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