第8話 魔法少年
ここは代々木の体育館。高校剣道大会の渋谷区大会が行われている。女子の前に男子の個人戦が行われている。
「楽子! 俺の勝利を見てくれたか!」
試合に勝った代官山男が猿野楽子の様子を見に来る。
「残念。楽子は、まだトイレよ! 月一の日よ! 諦めなさい!」
本当は楽子は剣道部顧問のアンディとイチャイチャしている。
「そんな。」
山男はガッカリする。
「おまえ、魔法少年だな。」
そこに一人の男と一人の妖精が現れる。
「魔法少年? おまえは誰だ?」
「俺は次におまえと戦う広尾高校の広井修だ。」
「シューの使い魔兼家族の血の妖精エクレアです。」
少し根暗そうな修と陽気な精霊が現れた。
「次の対戦相手だって!?」
「そうだ。だが、おまえと戦う前に確かめておくことがある。おまえは魔法少年なのか?」
「魔法少年? さっきからおかしなことを言う奴だな。ハリーポッターの見過ぎじゃないのか?」
そうか! 魔法少女はよく見かけるが、魔法少年というカテゴリーは誰も挑まない。その理由はハリーポッターのパクリ・リスペクトと言われるからか。
「初めまして、血の妖精エクレアです。」
「これはご丁寧に。エルメス様の使い魔兼家族の犬のケーリーです。ワン。」
「同じく猫のバーキンです。ニャア。」
「私はルイヴィトン様の使い魔兼家族のモノグラムです。ちゅん。」
「アホ~、アホ~。」
「zzz。」
「アホガラスのヴェルニと寝てばかりのフクロウのダミエは気にしないで下さい。ちゅんちゅん。」
「私は朝食を愛し、朝食に愛された魔法少女ティファニー様の使い魔兼家族の癒し女幽霊のおみっちゃんです。足はありませんよ。エヘッ。」
「コン。」
「この子はコンコンです。カワイイでしょ。エヘッ。」
「どういたしまして。全員自己紹介って、すごいですね。圧倒されちゃいます。」
「誰がしゃべったか分からないので、語尾にエクとか入れといた方が良いですよ。ワン。」
「そうそう。登場人物が多過ぎて、ワンシーンで二回しゃべれるだけでも嬉しい状態です。ニャア。」
「そうなんですね。気をつけますね。エク。」
「ハハハハハッ!」
なぜか不思議と使い魔兼家族たちは初対面でも仲良くなれる。
「答えろ。おまえは魔法少年なのか?」
広井修は山男に詰め寄る。
「シュー、この男は違うよ。エク。」
「なんだと。」
「あっちの三人が魔法少女なんだって。」
「なに!?」
血の妖精エクレアは、栞、泪、結を指さす。
「昔の作品のキャラを異世界ファンタジーから現在への転生ではなく、魔法少年に置き換えて再使用するとはよく考えたわね。栞。」
「キャラクターもリサイクルの方がキャラ設定を考えなくていいもんね。使い魔兼家族にマスコットキャラクターを使うとわ!? なかなかやるわね。泪。」
「ねえ、私たちまで語尾に名前を入れる必要があるのかな? 結。」
なぜか魔法少女も語尾に名前を入れてみた。
「私、ドキ子。ドキドキ。あ、私は昔から語尾にドキって入ってるよ。ドキ。」
「渋井谷子です。どうも。」
これで全員の自己紹介が終わったのだが、人間6人、使い魔兼家族が8人として長い。話が進まない。
「ということは、こいつに魔法をかけて、反則行為を行っていたのはおまえたちか。」
「はっはっはっ。バレたか。栞。」
「だから、私たちは語尾に名前を言わなくていいんだって。泪。」
少し見つめ合う魔法少女と魔法少年。
「安心しなさい。あなたの相手は私がしてあげる。」
結が修の前に立ち塞がる。
「どうしても魔法少年の俺に魔法剣道を挑むというのか。」
「だって、負けたら朝食が美味しくなくなるでしょ。」
結は魔法少女として魔法少年には負けられない。
つづく。
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