プリン②

 冷蔵庫を覗くと、容器に『くくり』と書かれたプリンを見つけた。

 一瞬だけ手を伸ばしかけたが、すぐにやめた。

 これはおそらく、罠だ。

 だって名前を書いた覚えがない。しかもこの字には見覚えがある。

 久々梨は冷蔵庫からヨーグルトをとりだし、後ろを振り返る。


「うわっ」


 久々梨は驚いてこえをあげる。

 いつからそこに居たのか。

 久志が不服そうな顔で立っていた。


「なんで? なんで、久々梨はプリンを食べてくれないの」

「なんでって。明らかにお兄ちゃんの仕業でしょう」

「ふぉーゆー」

 両手を広げて、久志が言った。

「そういうことするから、食べないんだよ」

 久々梨は蔑むような視線を久志に送った。



【ククリメモ】

 お兄ちゃんに対して、ときどきいらっとする。


【人物紹介】

 糸井久志(17)

 身長176㎝

 

 久々梨の兄。妹が大好き。

 怒らせないほうが身のためである。

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