ドライヤー
風呂あがりにリビングの前を通ったら、全開になった扉の向こうで兄の久志が満面の笑みで手招きしてくる。
「くくりー。おいで。髪の毛乾かしてあげる」
久々梨は久志に持っていたドライヤーを手渡す。別に断る理由もないし、楽ができるからだ。
生暖かい風が私の長い髪の毛をなびかせる。
久志は丁寧な手つきで乾かした。
「ありがとう」
終わった後に礼を言うと、久志は嬉しそうに微笑んでいる。
「あー。いいなー。ママも今あがったとこなの。お兄ちゃん、乾かしてー」
久々梨と入れ替わるように風呂に入っていた母、梨佳がリビングに入るなりそう言った。
「いや、自分でやれよ」
久志は言った。
「か・わ・か・し・な・さ・い」
母が微笑みながら強い口調で言った。
「……はい」
久志は青ざめた顔で返事をした。
兄は母には逆らえなかった。
【ククリメモ】
お母さんは若いころ不良だったらしい。
【人物紹介】
糸井梨佳(41)
身長160㎝
久々梨の母。元不良。年の割には若く見える。
「ばばあ」って呼んだら半殺しにされると思う。
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