第14話 いつか、再びの邂逅を
セルお母さんの頭に生えた手は腕になり、集まって翼となった。
「セルリアンと生命は、やはり相容れぬ。また私は変異により、もはやセルリアンとも言えぬ。いつか再びの邂逅を楽しみに、私はこの地を離れるしよう」
セルお母さんは、ふわりと浮き上がった。それは鳥のフレンズのように、物理法則から解き放たれた動きだ。フレンズたちが見守る中、そのまま鐘楼から夜空へと消えていった。
かばんは、帽子を拾い上げると頭に載せた。
「かばんちゃん!かばんちゃん、かばんちゃん!」
サーバルが後ろから飛びかかる。かばんはサーバルに向き直ると、その肩をそっと抱き、頭を撫でた。
「サーバルちゃん…食べないでください」
「食べないよう!」
教会に薄明かりが差し込む。夜明けが近い。
「サーバル、食べちゃだめダヨ」
「そうだ、忘れてた!」
サーバルはかばんの左手をとると、腕時計をはめた。
「ラッキーさん!」
「かばん、大丈夫カナ?」
セルお母さんの頭に載せられていた薄布がひらひらと舞い、かばんの帽子の上に引っかかった。それはまるで、ヴェールのよう。
ステンドグラスから差し込む朝陽に、二人は赤く照らされるのだった。
かばんちゃんと砂の旅団 油絵オヤジ @aburaeoyaji
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