第13話 人間

夜空の雲に反射したのは、投光器の光だった。一つではない。何台もの大型車両に設置されたものだ。

黄色や赤の車両群は、それぞれをラッキービーストが動かしている。

車両から首のようなものが伸び、そこから何かが飛び出した。

「これは…水?」

ラーテルが飛沫を浴びて空を見上げる。

「けど、うへっ、しょっぱいな!」

その水は弧を描いて大型セルリアンたちに降りかかった。

「おお、本当に効いてるぞ」

「なんか、固まっていきますよ!」

セルリアンの足が固まり、折れて歩けなくなる。完全に固まったセルリアンは、既にセルリアンの形はしておらず、火山岩のような黒い岩にしか見えない。


「この子はお前を選んだ。この子はヒトだ。私は変化はしたが、それでもヒトではない。私がこの子にしてやれるのは、其の場凌ぎでしかない。わかっている。だが、私にはそれしかできなかったのだ」

セルお母さんは、高い天井を見上げた。大きなドアが大きな音を立てて開かれ、吹き込んだ風が頭に載せた布を吹き飛ばす。セルお母さんの頭には、たくさんの人の手にも似たものが蠢いていた。もはやヒトの、フレンズの姿にも似ても似つかぬ姿は、それでも月明りに美しかった。

「かばん!サーバル!」

砂の旅団とハンターたちが、教会になだれ込む。

「君には、こんなにもたくさんの群れがいるのだな。そう。ヒトは、やはりヒトといるべきだと思う。ヒトとヒトが集まって、人間になるのだから」

「人間…」

「この子は君に任せたい、ヒトの子よ」

「かばん、かばんです、ぼくの名前!」

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