第6話 救援要請
その時、サーバルの耳が動く。
サーバルの視線を追うと、そこには初めて見るフレンズがいた。
「助けて…」
「私は砂の旅団のダチョウ。お願い、みんなを助けて…!」
ダチョウは泣き崩れながら、かばんの裾を掴んだ。
「何があったんですか」
「いつものように、大型セルリアンをやっつけようとしてたら、いつもはいない小型や中型のセルリアンが出てきて、包囲するつもりが分断されて…一人ずつ…」
「食べられちゃったんですかっ?」
「わかんない。チベさんが私を逃して…助けを呼んでこいって…街にいるはずだからって…」
「とにかくすぐ行きましょう!ラッキーさん、用意してほしいものがあるんです。…それと。やっぱりいつ帰ってくるかもわからない、ヒトの為にこの街を守るより、みんなの…フレンズさんたちのことを手伝ってあげて欲しいんです!」
「かばんさん、背中に乗って!」
涙を拭うと、ダチョウはかばんを背中に乗せて走り出した。
「わあっ速いよ!」
「サーバルちゃんは、後からみんなと来て!ラッキーさん、よろしくおねがいします!」
サーバルをあっという間に引き離すと、かばんとダチョウは見えなくなってしまった。
「…マカセテ」
ラッキービーストは、呟くともなく真っ直ぐにかばんが消えた方を見据えると、街の中に向かった。
ダチョウは風のように疾る。砂漠は薄暗く、急激に気温を下げつつあった。
「あそこ!」
ダチョウが指差す方向には、暗がりの中、何か大きなものが蠢き、悲鳴が聞こえる。
その中心部まで駆け込んだダチョウから飛び降りると、かばんはマッチで紙飛行機に火をつけた。
「こっちだ、セルリアン!」
かばんは仁王立ちになると、火のついた紙飛行機を振り回した。大型セルリアンを含めたセルリアンたちの一つ目が、一斉にこちらを向く。
「えいっ!」
十分に引きつけたところで、かばんは紙飛行機を飛ばした。セルリアンたちの視線が、紙飛行機のゆっくりした軌跡を追う。
「今です、にげて!」
かばんの叫びは、無音の砂漠に響いた。
「た、退却、退却!」
「動ける者は動けない者を助けろ!」
フレンズたちが、セルリアンの足元を抜け出し、一目散に駆け出す。
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