幼なじみがスカート好きな話し

 俺の幼なじみは生まれてこの方ずっと女の格好をしている。幼稚園の頃からずっとだ。おかげでアニメなんかでよくある「お前男だったのー!?」事件を小学校で経験し、俺の小さく膨らみかけていた幼い恋心はもちろん打ち砕かれ、だからといって嫌いになるわけも無く、かといって恋愛として好きになるわけも無く、気がつけば友人として高校まで一緒に進学してきた。奴のスカートにもとうの昔に慣れきってしまった自分が恐ろしい。

「わたるんさー、最近お小言多いって。俺の親か」

「お前の友だ。最近変な奴多いだろ、お前のスカート見て変な性癖生まれる奴もいるかも知んねーじゃん」

「生まれたとしても俺のせいじゃなくそいつのせいだろ」

「ごもっともなんですけどね」

 今日は休日、ゲーセンで格ゲーをしながら過ごす事にした俺たちはお互い対戦台に座りレバーを動かす。向かいに座る奴、幼なじみのタケルはロングのスカートにTシャツというラフな格好で対戦台とにらめっこしている。このゲームセンターではもう常連で物珍しげにしてくる奴もいない。

「あーでも最近、わたるんと付き合ってるのか聞かれるわ」

「いつものやつな」

「そそ。面倒な話そっちに行ったらごめんね」

「いーって。物珍しさに聞いてきてるだけだろ」

「中学上がるときもそんなんあったね」

「おう。そのうち収まる奴」

「だったわ。たよりにしてるぜ俺の幼なじみ様」

「おー。頼りにされてやる」

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