第303話、LAST BOSS・『Atle・za・ture・O-VAN』③/やりたい放題

「先手必勝っ!! 空波斬!!」


 俺はキルストレガを振り、ブレード光波を繰り出した。そういえばこの剣でまともに戦うの久しぶりだな。たぶんこの戦いが終わったらお役御免だろうけど。

 ブレード光波は真っ直ぐ飛び、バスケットボールサイズの巨大パチンコ玉……『Atle・za・ture・O-VAN』に向けて飛ぶ。

 そして、ブレード光波は巨大パチンコ玉を真っ二つに両断した。


「え?」


 綺麗な半球になった。

 違う。半球になったけどぐにゃぐにゃと変化……うそ、二つのパチンコ玉になった。分離したのかよ!?


『何を驚く? ここは私の世界。私が全ての法則である』

「あーはいはい、そうですか」


 とりあえず、様子見はここまで。この世界がこいつの腹の中ってのはわかった。なら、やるべきことがいくつかある。

 それと、言っておく。


「お前の腹の中だってのはわかった。でもな……機械に干渉できる俺の手を忘れるなよ?」

『無論、承知している。私はアンドロイドの頭脳。オーディン博士のデータも持っている』

「そうかい、そりゃよかった」


 『Atle・za・ture・O-VAN』はぐにゃぐにゃと表面を波打たせ、いくつもの小さな……おいおい、分離して……マジのパチンコ玉サイズになっちまった。しかも数が100、200個どころじゃねぇ。


『この世界であなたを抹消する方法を何通りか思考した。結果を検証したいのでお付き合い願おう』

「怖っ……悪いけど無理。抵抗させてもらうぜ」


 俺は『乙女絶甲アイギス・アルマティア』を大量に召喚し、自分の周りを包囲した。今の俺ならなんでもできる。

 そして、数千のパチンコ玉が、俺を狙って弾丸のように飛んできた。


「のわぁぁぁぁっ!?」


 アイギスがパチンコ玉を弾く。

 そうだ。この世界で俺が死ねば、現実世界の俺も死ぬ。コイツの考えは正しい……普通の人間みたいに、頭や心臓を破壊すればいい。俺が『死』を実感した瞬間、俺は消滅する。

 やばい。早く調べないと……。


「くそ、どこだ……」


 地面に手を触れ、周囲を、この世界にアクセスする。

 こいつを倒す前に、どうしてもやらなきゃいけないことがある。


『ふむ。やはり物理攻撃に弱いようだ。今のきみは精神体。きみがこの世界で消滅すれば現実のきみも死ぬ』


 バレた。まぁいずれバレるとは思ってたけどな。

 アクセスはまだ終わらない。探りはバレていないはず。早く……早く!!


「…………見つけた!!」

『む?』

「へへ、見つけたぞ……お前と外部の予備端末!!」

『!!』


 そうだ。こいつは破壊される前に、全データを外部に転送する可能性がある。それを防ぐために、外部の予備端末に繋がる経路をシャットアウトする必要があった。

 俺と戦っている間に、データを転送……この世界を俺ごと消去する可能性もあるからな。


『貴様!!』

「もう遅い!! 外部の予備端末との経路を切断!! これでお前はもう逃げられないぞ!!」


 アクセス、そして……切断!!

 これでこいつは外部にデータ転送できなくなった。あとは、直接叩いてこいつを機能停止させるだけだ。


『おのれ、やってくれる』

「へ、あとはお前を倒すだけだ」

『ふん。外部の予備端末との経路を切断したか。だが、再構築すればいいだけのこと。お前というウィルスを消去し、外部の予備端末との経路を再構築する』

「それを俺がさせると思うのか」


 パチンコ玉が俺から離れ、フワフワと浮く。

 そして、一つ一つが膨張し、形状が変化……おいおい、マジかよ。


「お、オストローデシリーズ……!?」


 パチンコ玉一つ一つが、これまで戦ったオストローデシリーズに変化した。

 アシュクロフト、アナスタシア、ライオット、ハイドラ、ゴエモン、セルケティヘト……おいおい、嘘だろ。戦闘タイプ勢揃いか。

 

『外部の予備端末との経路を再構築する。きみの相手は人形に任せよう』

「舐めんな。こっちだってオールスターでいくぜ」


 俺の両手から『機神の歯車ゴッドピース』がバラバラ落ちる。周囲にばらまくと、歯車が変化していく。

 この世界では、俺はなんでもできる。


「戦乙女型、俺の仲間たち、生徒たちに、これまで会った人たち……全員で相手してやる!!」


 『機神の歯車ゴッドピース』をばらまきまくり、どんどん兵力を作っていく。三日月の能力は知ってるけど、他の生徒は知らないので、適当に剣を装備させた。悪いね、適当で。

 これまで出会った全ての人や思い出が、俺の力だ。


『回路修復開始』

「いけ、みんな!!」


 俺の軍勢と、『Atle・za・ture・O-VAN』の軍勢がぶつかり合った。

 外で起きた戦争が、今度は『Atle・za・ture・O-VAN』の中で始まる。でも今度は先程の比じゃない。

 俺は『機神の歯車ゴッドピース』をばらまき、兵隊をどんどん生み出していく。


「いけ、ごま吉、ジュリエッタ!!」

「「「「「もっきゅう!!」」」」

「「「「「きゅうぅ!!」」」」」


 何百匹ものごま吉、ジュリエッタをう生み出し、ミサイルのように発射する。

 俺の生み出したごま吉ミサイルは敵のオストローデシリーズを破壊し、ジュリエッタミサイルは追尾型でライオットに直撃した。


『修復中……』

「くそ、ヤバい……本体を破壊しないと」


 外部の予備端末との経路は修復されたらおしまいだ!!

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