第十一章・【?????????????】

第258話、ロキ博士の話①

 帰りは、遺跡の目の前で飛空挺を召喚し、乗り込んだ。

 飛空挺内は温かい……マジ天国だ。というかこの飛空挺、戦乙女のために作られただけあって、それっぽい施設がある。


 まず、メンテナンス用のナノポッドがあった。ブリュンヒルデやジークルーネが入っていたのと同じやつだ。コンソールもあるけど俺にはさっぱり。ジークルーネが見たら喜びそうだ。

 あと、個室があった。

 全部で八部屋。たぶん、戦乙女七姉妹と予備の部屋かな? コックピットの真上にポールが伸びて、そこを登ると広い空間になっている。そこに各部屋があった。

 エンタープライズ号と同じ、空間歪曲だ。軍用ヘリぐらいなのにこんなに広いとは……これ、かなり使えそうだ。

 コックピットに戻ると、シグルドリーヴァが言う。


「お父様、六つ目の遺産を手に入れました」


 すると、コックピットのディスプレイがブンッと光り、イケメンフェイスを満足そうに歪めるロキ博士がいた。


『ご苦労さま。ではシグルドリーヴァ、座標を転送するので、こちらに戻りたまえ』

「はい、お父様」

『センセイ、最後の遺産とオストローデ王国の動きについて話そう。では』

「……ああ」


 ブツッと映像は切れた。

 代わりに、ディスプレイにはこの世界のマップが表示される。


「座標確認。ここからすぐ近くの遺跡内に転送装置がある。そこからお父様のところへ戻れるようだ」

「転送装置? おいおい、そんなの動くのかよ」

「……お前の力は飾りか? 壊れているなら修理して戻れという意味だ」

「……」


 そうだった。というかロキ博士、最初からそれ込みで転送装置を選んだのかも。

 あーもう、なんか気に食わん……。


「じゃ、戻るッスよー」

「頼む、レギンレイブ」


 そう言えば……こいつらとの旅も終わりだな。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


 十五分ほど飛行し、ヴァンピーア領土内にある小さな森の中に着陸した。

 着陸すると、目の前に小さな祠があり、祠の裏は大きな岩がある。その岩をシグルドリーヴァが持ち上げると、なんと地下に続く鉄扉があった。

 どうやら、ここは大昔のシェルターらしい。中にはいくつかの部屋と携帯食料の残骸、それと人骨がいくつか転がっていた……いきなりの人骨は心臓に悪い。

 そして、シェルター内の隠し部屋に、転送装置があった。


「どれどれ……おぉっ!!」


 触れると、修復と同時に起動した。やっぱ『修理リペア』ってすごい。


「よし、お父様のいる場所への座標をセット……乗れ」

「あいあーい」

「よし」

「…………」


 ……って、ちょっと待て。ハイネヨハイネはいいのかな?

 そういえば、ロキ博士は何も言わなかったけど……まぁいいか。


「では、転送」


 シグルドリーヴァがいきなり言うと、猛烈な浮遊感が俺を襲った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「……転移完了。ようやく帰ってきたな」

「い、いきなり転移するなよ……これ、けっこう気持ち悪いんだぞ」

「うるさい」

「…………はい」


 ぶった切られたよ……。

 さて、ここは見覚えのある転移部屋だ。ロキ博士の住居にある転送装置部屋で間違いない。

 シグルドリーヴァがスタスタ歩き出したので、それに付いていく。行き先は……やっぱり、ロキ博士の元だ。

 ロキ博士は、空中浮遊椅子に座ったまま、俺たちを出迎えた。


「おかえり。ふふ、成果は上場のようだ。期間内に遺産を二つ手に入れ、あまつさえ、『Osutorodeオストローデシリーズ』の一体を確保するとは。合格だよセンセイ、きみは私の期待に「わかったわかった、それより、オストローデ王国のことを教えろ」

「……やれやれ、せっかちだね」


 ゴタゴタやかましいので黙らせる。

 このインテリイケメンめ、話し出すと止まらないな。


「さて、何が聞きたい?」

「お前が俺を動かすために使った情報」

「ふむ……ああ、きみの生徒たちのことだね?」

「……言え」

「くく、怖い怖い。私を睨んでもしょうがないぞ?」


 この野郎……マジでぶん殴ってやろうか。


「きみの生徒たちは、Osutorodeオストローデシリーズの改造手術を受けた」

「……………は?」

「脳にチップを埋め込まれたのだよ。これにより意識を奪われ、Osutorodeオストローデシリーズ最高の情報処理能力を持つ個体、Type-PAWNの手足となった。レベル100の能力者による兵隊、オストローデ王国の全住人、そしてオストローデ王国の地下で量産されているウロボロス、Type-LUKE、カラミティジャケット。これらがオストローデ王国の……敵アンドロイドの戦力だ」

「……………???」


 こいつ、なに言ってんだ?

 

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