第253話、本当は強いケートス

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 ケートスをやっつけた。というか、シグルドリーヴァ強すぎ。

 小型艇を走らせシグルドリーヴァを探すと……いた。両腕がメチャクチャに破壊され、片足も吹っ飛んでる。シグルドリーヴァは悲惨な状況でプカプカ浮き、驚いたことにウルスス・アークトゥルスじは無傷でシグルドリーヴァの傍にいた。

 ケートスの脅威は去ったので、俺とレギンレイブ、ついでにハイネヨハイネは小型艇から出てシグルドリーヴァの元へ。


「お、おい、大丈夫なのか?」

『あ、あ、も、ん、だ、い、な、い』

「いやいや、音声出力にも異常出てるッスよ……センセ、直してやってくれッス」

「ああ。じゃあ『修理リペア』」


 シグルドリーヴァの肩に触れて修理を発動させると、砕けたパーツが再生し、壊れた鎧も復活した。久しぶりに使ったけどやっぱり便利だなこれ。


「ふぅ……感謝する」

「ああ。お疲れさん……さて」


 シグルドリーヴァが倒したケートスの残骸を見る。

 モノの見事に真っ二つ。血もめっちゃ出てるし、さっそく巨大なサメや肉食の魚が集まって来た。

 討伐したのはいいけど、こんなデカいのどうすればいいんだろう。討伐の証に部位でも持って行けばいいのか? さすがに手ぶらで「倒しました!」じゃスクアーロ王に信じてもらえない。


「まさか、この巨体を担ぐわけにはいかんしな……」

「可能だぞ」

「そうか、可能……え?」

「可能だ。陸上では不可能だが水中では浮力がある。ウルスス・アークトゥルスのパワーなら、このクジラの片側なら運べる」

「マジか……」


 たった三メートル弱の白熊さんに、ジャンボジェットと豪華客船を合わせたようなバケモノクジラを運べるのかねぇ……。

 すると、オルカさんやシャチ魚人たち、リグくんと複数のシャチが俺たちのところへ来た。


「…………これは、夢か?」

「ええと、現実です。その、討伐しました」

「まさか、海の大魔獣ケートスを倒すとは……」

「あ、あはは……」


 なんとか笑って誤魔化す。とりあえず、シャチの集落への脅威は去った。ケートスは討伐したし、スクアーロ王に会って遺産への扉を開けるだけ。


「あの、オルカさん。ケートスの半分は俺たちが持って行きます。残りの半分をお任せしてもいいですか?」

「何を言ってるかさっぱりわからねぇが……」


 だよな。半分持って行くなんて言っても理解出来ないだろう。

 なので、実際に見てもらうしかない。


「ウルスス・アークトゥルス、本当に持てるかわからないけど、ケートスの半身を持ち上げてくれ」


 ウルスス・アークトゥルスはケートスの死骸の元へ行き、ヒレの部分を素手で掴んで浮上した。すると、ケートスの身体が持ち上がっていく……すげぇ。


「な……」

「と、いうわけです。俺たちはこれから、ネプチューンに戻りますんで、あとはお願いします」

「…………ぉぅ」


 状況が把握できないのか、オルカさんの声はかなり小さかった。

 さて、証拠はゲットした。あとはスクアーロ王に会って遺産への扉を開けるだけだ。


 待ってろよスクアーロ王、今行くからな!


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