第238話、デスティニー・Type-FIDOHERE①/運命と機神の手
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「生徒たちの魔道強化処理は問題なく完了。兵器の量産も進んでるし、ゴエモンも最新式の躯体に電子頭脳を移し替えた。戦争はいつでも仕掛けられるわ」
「そうですか……生徒たちのほうは?」
「問題ないわ。サンプル1号と2号のデータが役立った、アリアドネなら全員を並列操作できる」
「そう、ですか……」
「ヴァンホーテンも問題ない、けど。やっぱりここからは動かせない。このオストローデの最後の防衛線として使うしかないわ」
「……」
「アシュクロフト、どうしたの?」
ここは、オストローデ王国・アシュクロフトの執務室。
アナスタシアから兵力の報告を聞くアシュクロフトは、心ここにあらずと言った雰囲気で、アナスタシアの報告を聞いていた。
原因は一つ……。
「最後の不安要素は、やはりセンセイね」
「センセイ……そして、解明できない能力を獲得したcode04、ですか」
「ええ。ゴエモンに残された最後のログを確認しても、何が起きたかさっぱり解明できない。観測していたアリアドネですらお手上げ……はっきり言って、私たちアンドロイドが相手をするには分が悪すぎる」
「なら、こちらはショウセイをぶつけましょう。彼なら倒せなくとも、code04に深手を与えることは可能かもしれません」
「深手ねぇ……センセイがいる以上、深手は深手にならないわよ。それに、ライオットのパーソナルデータを書き換えた能力もある。私たちにとってセンセイは、触れるだけでも危険な相手……まさか、召喚時の異分子がこんな成長をするなんて」
「…………」
触れるだけ。
アシュクロフトは、あの時……
あの時感じた何かが、アシュクロフトの中に残っている。
「…………アナスタシア」
「なに?」
「あなたは、恐怖を感じたことはありますか?」
「……恐怖? なに、セルケティヘトも言ってたけど……」
「……いえ、なんでもありません。計画は最終段階に入っています。我々アンドロイドの最終目的である人類の殲滅までもう間もなくです。全ての準備をぬかりなく」
「ええ。もちろん……ようやく終わるのね、私たちの長い戦いが」
オストローデのアンドロイドたちは、『人類に復讐する、そのために殲滅させる』という基本思想の元に行動している。
そのために、ここまで戦ってきた。準備をしてきた。
少ない資源でアンドロイドを量産し、己のアップグレードや躯体の改造を済ませ、ついに最終段階まで来たのである。
ほんの少しのイレギュラーなど問題ではない。
すると、アシュクロフトの執務室のドアが、静かにノックされた。
「どうぞ」
「失礼します……アシュクロフト」
「カサンドラではありませんか。何か御用で?」
入ってきたのは、この国の姫君……という形で存在している『Type-
「…………ここにもいませんか」
「誰を探しているのかしら?」
アナスタシアが聞くと、カサンドラは言った。
「ハイネヨハイネの所在、知りませんか?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アルヴィートは一人、オストローデ王城の地下を歩いていた。
「はぁ……みんなどうしちゃったのかな」
不必要な話は一切せず、凍り付いた表情で毎日生活をしている。
アルヴィートが話しかけても何も言わず、頷くだけか無視することもあった。
「みんな……」
アルヴィートにとって、生徒たちは大事な仲間。そして友達だ。
まさか、脳にマイクロチップが埋め込まれ、感情を抑制させられているとは露ほど感じていないアルヴィートだった。
「はぁ~……外に散歩でも行こうかなぁ……ん?」
コツコツと、歩く音が聞こえた。
すると、アルヴィートの視線の先に、全身をローブで隠し、顔の半分しか見えない誰かがやってきたのだ。
「あれ、ハイネヨハイネ? どうしたの?」
「偽りの乙女……あなたは、運命を信じますか?」
「うんめい?」
「決まっていた未来を覆す、定められた運命を否定し、失うはずだった命をも救い上げる手を持つ者。私には見えない、見えない……」
「どうしたの? おなか痛いの?」
ブツブツと、『Type-
『予言』という、的中率100%の未来予知の能力を持つアンドロイド。チート能力の解析をするために作り出された特殊個体であり、能力の解析によって電子頭脳にバグが発生、アンドロイドなのにチート能力のような何かを得た特殊アンドロイドであるハイネヨハイネは、自らが視た運命が覆され、己の存在意義を見失いかけていた。
「ねぇハイネヨハイネ、身体の調子悪いならアリアドネのところに行けば? あの子ならきっとスーパーグレードアップして直してくれるよ!」
「…………」
ハイネヨハイネは、頭の中で揺らぐ何かから答えを探す。
「運命を覆し機神の手、私に見えない未来……ならば、見届けるのが我が使命」
「?」
「偽りの乙女……あなたは、自らの存在をどう考えています?」
「へ? わたし? そーだなー……わたしはセンセイのために戦う戦乙女かな!」
「…………そうですか」
ハイネヨハイネの口元は笑っていた。
そして、ゆっくりと歩きはじめる。
「あれ、どこいくの? アリアドネのところ?」
「いえ。会いに行きます」
「会う? だれに?」
ハイネヨハイネは歩みを止め、振り返って告げる。
「センセイと呼ばれる、機神の手を持つ男に……」
数時間後、ハイネヨハイネは一隻の潜水艇と共にオストローデ王国から消えた。
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