第169話、夜王城地下遺跡
ヴァンピーア王国周辺の遺跡は、全てハズレだった。
エレオノールとヴァルトラウテも調査に参加し、1日で全ての遺跡を回ったが、どれも朽ち果てた遺跡だった。
オルトリンデたちと合流し、これからの方針を話す。
「当然、ヴァンピーア王国内の遺跡だ」
「……やっぱりですよね」
「うふふ。予想が当たりましたわね、エレオノールちゃん」
やはり、ヴァンピーア王国内の遺跡……夜王城の地下遺跡の調査になった。
エレオノールは、オルトリンデたちに言う。
「地下遺跡の調査には、申請が必要なんです。ええと、ギルドに申請書があって、それに記入するとギルドが夜王城に届けてくれるんです。そして、調査許可が下りれば晴れて地下遺跡を調べられます!」
「めんどくせぇ……エレオノール、やっとけ」
「は、はい」
「お姉さま……」
「んだよ。じゃあオメーもやれよ。アタシとライオットは待ってるからよ」
「……はぁ」
「あ、あはは……」
こうして、次の目的地は地下遺跡となった。
ヴァンピーア王国に戻り、ギルドの駐車場に居住車を止める。
そして翌日、ピーちゃんをオルトリンデに預け、エレオノールとヴァルトラウテは冒険者ギルドへやってきた。
「ええと……受付かな」
「エレオノールちゃん?」
「いえ、その……噂を聞いただけで、申請したことは……」
「ふふ、なら受付にいきましょう」
「は、はい」
ヴァルトラウテと一緒に、エレオノールは受付へ。
ちなみにピーちゃんがいない理由は、オルトリンデがヒマ潰しの相手として置いて行けと言われたからだ。ピーちゃんも嫌がるどころか、オルトリンデにかまってもらいたそうだったので任せてきた。
受付嬢の前に立ち、ヴァルトラウテが言う。
「すみません、夜王城の地下遺跡を探索したいのですが、申請はこちらでよろしいですか?」
「はい。夜王城地下遺跡の探索ですね。申請はこちらで……あら、まさか『
「ええと……は、はい」
エレオノールは、『
4人しかいないS級冒険者の地位に執着してるわけでもないし、エレオノール本人は能力がなければ非力な少女だ。どうも冒険者の実力とは感じなかった。
そして、『
「眠り姫?」「バカ、S級よ」「すげぇ……」
「同い年くらいじゃね?」「あれが最強の4人のウチ1人……」
「か、可愛いな」「隣の銀髪もいいじゃん」「でもS級だぜ?」
新人から中堅の冒険者たちが、注目する。
ヴァルトラウテは気にしていなかったが、エレオノールは縮こまる。
「うふふ、エレオノールちゃん大人気ですわね」
「はぅぅ……」
赤面し、ヴァルトラウテの陰に隠れるエレオノール。
すると受付嬢が、数枚の申請書を出した。
「こちらにご記入をお願いします。書類提出の2日後に結果をお知らせしますので、それまでお待ちください」
「は~い♪」
ヴァルトラウテが書類を記入し、この日はギルドを後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
二日後。
この日は4人でギルドへ。
「おい、『
「銀髪の子可愛いな」「オレ、あのポニーテールが好み」
「なぁ、あの筋肉ハゲって」「ああ、生身で居住車を引いてた」
今日も冒険者グループに噂をされていた。
オルトリンデたちは全く気にせず、エレオノールはすくんでしまう。
周りのことなど気にせず、受付へ。
「おう、夜王城地下遺跡の申請をしたんだが、どうなった?」
「は、はい。ええと……通りました」
「サンキュー」
可愛らしい女の子らしくない言葉遣いに、やや面食らう受付嬢。
数枚の羊皮紙を取り出し、オルトリンデに渡した。
「夜王城の地下遺跡を探索する際の注意事項です。ご覧ください」
「んだよ、めんどくせーなぁ」
「お姉さま」
「はいはい。オメーが読んどけ、行くぞ」
4人は、夜王城の地下遺跡へ向かう。
遺跡の入口は、以外にも王国郊外だった。
4人は徒歩で王国を出て、遺跡の入口がある郊外の森へ向かう。
「なんで夜王城の地下遺跡なのに外にあるんだよ」
「ええと……どうやら、地下遺跡は夜王城の秘密通路のようです。迷路みたいに入り組んでるらしいですね」
「はぁ? なんでそんな通路が?」
「恐らく、緊急時の脱出路とか?」
「じゃあなんで迷路になってるんだよ」
「ええと、賊に襲われたときに、正解以外のルートを進ませるため、とか?」
「お姉さま、エレオノールちゃんを困らせないでくださいな」
「質問しただけだろうが」
ヴァルトラウテは羊皮紙を広げ、注意事項を確認する。
「ええと……遺跡内で見つけた物はサタナエル様の所有物、死んでも文句を言わない、モンスターはなるべく駆除すること……要約するとこんな感じですわね」
「なんじゃそりゃ……まぁいい。さっさと調査してレギンレイブを見つけるぞ」
「はい!」
「うっす!」
4人は、遺跡内の調査を始めた。
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