第七話 望み

「えっと、ごめん。なにこれ?」

「私の望み、知りたかった真実がこれよ」

 桜色を基調としたフリルが三重のドレス。胸元を飾る真紅の宝石、透き通ったクリスタルが先端で回る杖。

 魔法少女と呼ばれる存在がそこにはいた。


「いや分からないけど」

「それはそうよね。知らないもの、わたしが歩んできた人生を。それにあなたの敵であったことも」

 あの後、私は人の夢を食べ絶望に陥らせるあなた達と戦う戦士になったわ。そして最後の戦いで唯一逃げ延びたあなたを追いかけていた。


「ははは、面白い敵とも知らず、僕は君を救ったのか。じゃあ君を倒すのもまた僕なのだろう」

「最後に聞くわ。どうして私を助けたの?」

 そんなの決まっているだろう。一目ぼれさ、君に恋をしたんだ。


「…そんな、冗談よ!」

「嘘はつかないのが僕の主義でね、人の夢には嘘偽りがない。夢に飲み込まれない条件だからね」

 知らなかった!知りたくなかった!だけど!それでもあなたを倒す!ここですべてを終わらせる!


「いいだろう!決着をつけよう!」

「私の全てを懸けてあなたを倒す!」

 虚空から細身の剣を取り出し。彼女と相対する。


 杖に魔力を込め刃を形成する。彼を見据える。


 決着の時だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る