第八話 勇者
「はぁはぁ、やるな勇者よ」
「お前こそ…これまであったどんな奴よりも強かった」
色々な物語に勇者が存在する、魔の王の敵、人類の救世主、武力の代行者。敢えて強き者に挑まんとする者。 そしてまた一人勇者が生まれた。
「我はここで終わりのようだ…後の世界を頼んだぞ勇者」
「俺はそんな薄汚れたもんに興味はないが、精々おまえの分まで生きるとしよう」
長く続いた魔物と人間の戦いは魔王と選抜された特殊部隊の戦いで決着がついた。部隊の長が魔王に勝利したのだ。人類の勝利が確約された瞬間だった。
「はっはっそれもそうだ。では薄汚れた人間どもの羞恥が極まった時にまた会おう今度は友とし会えることを期待しよう」
「勘弁願いたいね、お前の相手なんてまっぴらごめんだ」
崩れかけた魔王の城に朝日が差し込む、魔王が君臨していた証である闇が払われ光が差した。それと同時に魔王の体は崩れ始めた。存在するための魔力が尽き始めたのだ。
「ああ、なんて美しい朝日だ。こいつが俺の死ぬまで続けばいいのに…」
笑みを浮かべ魔王は消滅した。そして城の門が破られた。人類は魔王の消滅と勝利を知るだろう、それは新しい夜明けかそれとも終焉の始まりか。知らずに朝日は昇る。
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