第九話 子供
「ねぇ、お母さんはどうしてお父さんと結婚したの?」
子供は純粋で無垢でそれゆえに残酷だ。場合によっては古傷をえぐることも平気でするだろう。一方で関係を見つめ直すきっかけにもなる。
「そうね。昔から私たちはね仲が良くてずっと一緒にいたのだからね。結婚したのお互いに愛があって、それが抑え切れなかったから」
どうして?といわれればあえてこうであるといった理由はなかった。当然のように常に隣に居続けた、それだけが十分な理由であった。
「うちの親がそんな感じなんだ」
「へえー。漫画みたい!」
友人たちからはある憧れの眼差しを受けた。それがいつしか出会いを生み、長じてまた結実する。そして、子供たちもまたその様をなぞる。
「母さん。父さん。俺結婚するんだ!」
「好きにしなさい。ちゃんと幸せにするんだぞ」
時が過ぎ子供はいつのまのか独立し、手を離れた。それからいくつの年が過ぎたのかわからないが、二人はいまだ離れずに傍らに居続けた。
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