第八話 結婚
帰結は思ったよりも早く訪れた。両家の縁は深まり独立した家庭を望んだ二人は遂に結婚に行き着いた。続くは極楽かあるいは地獄か。
「おめでとう、今日から君たちは夫婦だ」
「ありがとうございます」
順調だった。隔たりも心の壁も長い時間と記憶の共有が溶かしてしまった。ただ一つ残った劣等感は心の奥にしまい込んで、出てこないように封じ込めて。信頼を結んで。
「愛してる」
「俺も愛してる」
愛を囁きまた育むのは容易であり。その結果を問わなければ満足できる行為であると思えた。
「ねぇ、私子供が欲しい」
「俺もだ」
当然の帰結として愛の結実を欲しがった、世間の認識としてそれは家庭という概念の絶対的な構成要素の一つである一方必要な過程でもあった。独立した一家としての認可を勝ち得る意味でも重要だった。
「出来たわ、男の子よ」
「おめでとう!」
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