第二話 お互いの理由
「初対面でしかも見ず知らずの他人にである僕に何か話すのは怖いだろう?だからまず僕の事を話そう」
おもむろに彼は自分の境遇を話し始めた。
「まず僕の名前は東 駆。高校二年生、17歳。近所のファミレスでアルバイトしてて、アルバイトのし過ぎで成績は万年低空飛行…」
彼はどうして私の話を聞こうとするのだろう?何か目的があるのだろうか?といった疑問は彼の話を聞いているうちに空気に溶け去った。
「話せることはあらかた話したと思うけど何か感想は?」
「どうしてそんなにも自分の事を話せるの?知られることが怖くはないの」
「どうせ僕は終わった身だから…知られて困ることはないからかな」
その時は分からなかった、その言葉の意味が。
「訳がわからないけどなんかわかった気がする。それに多分私も話さないと不公平だよね」
不思議と気持ちが軽くなった、なんでも言える気がした。浮かれていた気もする。
「両親と些細なことで喧嘩をしたの、それで家出した、行き場なんてないのに、馬鹿なことをしたのは自分でもわかっているのにね」
「それは君にとってほんとうに些細な問題だったのかい?抱えきれないほど、理解出来ないほどの問題ではなかったかい?」
「なにがわかるの!私の家庭のことなんて!」
思わず叫んでしまった。怖かった、自分を踏みにじられるのが。
「やっぱり、そういう類の事か。僕の家もね両親の不仲でとんでもない事になった」
滔々と静かに語り始めた。彼の事情を…
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