第四話 高校生
あれから三年たった、高校生になった。噂はしょせん噂であり、本人たちが否定し続けると鳴りを潜めたがお互いを意識させるには十分な要素を持ち合わせてもいた。 だが、それと同時にその感情を飲み込み理解するには彼らはあまりにも同じ時間を共有しすぎた。長く続く関係性を変えることが怖くなり心の奥底にしまい込んだのだ。
「ねぇ今度さ。映画でも見に行かない?」
「いいけど来週テストだぞ、いつも赤点ギリなのに大丈夫か」
「…いいよ、一夜漬けするから」
「そんなことしてるから毎回ひどい成績取るんだぞ。そうだ、今回は俺が勉強教えてやろう」
「本当に!?」
「代わりに映画は奢りな」
周囲からは明らかに付き合っているようにしか見えなかったが本人たちは否定を続けた。一歩踏み切る勇気はなかった。関係は深まりつつあるが一線はこえなかった。
文化祭の日友人たちに唆されて舞台に出ることになったその時までは…。
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