最終話 再会

見計らったかのように電話が掛ってきた。


「蓮華が目覚めそうだ!」

「えっ、本当ですか?」

「ああ、今から来れないか?」

 私は考えた。彼女は言った、別れましょうと。そんなことは出来ないし会いたいだが彼女は私を拒絶するかもしれない。

 救えなかった。私を。

「どうしたんだ?」

「いえ!行きます!」

 いや、何を恐れているんだ後悔はあの日散々したじゃないか。もう後悔はしたくないと思ったじゃないか。今度は行動しなきゃ。あの頃の僕とは違うんだ。

私は、彼女の眠る病院へ向かった。


「よく来てくれた、娘は病室にいる。会ってやってくれ」

 彼女の病室に向かった。息を整え、落ち着き。扉を開ける。

十数年ぶりにベットから起き上がって、動いている彼女が見えた。

一歩一歩ゆっくり急く心を抑えながら彼女の前に立つ。

「…来たのね。あれだけ言ったのに」

「来たよ、あれだけ言われても」


 彼女は泣きそうな顔をしながら言った。

「本当はあなたとずっと一緒に居たかった。けれど縛りたくはなかった」

「知ってる。僕は縛られてでも君を想っていたかった」

向かい合って、少し笑って泣きあった。

お帰り。

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