最終話 再会
見計らったかのように電話が掛ってきた。
「蓮華が目覚めそうだ!」
「えっ、本当ですか?」
「ああ、今から来れないか?」
私は考えた。彼女は言った、別れましょうと。そんなことは出来ないし会いたいだが彼女は私を拒絶するかもしれない。
救えなかった。私を。
「どうしたんだ?」
「いえ!行きます!」
いや、何を恐れているんだ後悔はあの日散々したじゃないか。もう後悔はしたくないと思ったじゃないか。今度は行動しなきゃ。あの頃の僕とは違うんだ。
私は、彼女の眠る病院へ向かった。
「よく来てくれた、娘は病室にいる。会ってやってくれ」
彼女の病室に向かった。息を整え、落ち着き。扉を開ける。
十数年ぶりにベットから起き上がって、動いている彼女が見えた。
一歩一歩ゆっくり急く心を抑えながら彼女の前に立つ。
「…来たのね。あれだけ言ったのに」
「来たよ、あれだけ言われても」
彼女は泣きそうな顔をしながら言った。
「本当はあなたとずっと一緒に居たかった。けれど縛りたくはなかった」
「知ってる。僕は縛られてでも君を想っていたかった」
向かい合って、少し笑って泣きあった。
お帰り。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます