第2話

「さて、ここまで来たらもう演技はしなくていいだろう。」


先程までの態度が嘘のような表情で話し始めた。

いつも2人を呼び出すときの合図みたいな茶番劇であり、他の生徒達もあいつらがまた何かやったのだろうと思っているだろう。


「悪いね、今回は理事長から君たちに依頼をお願いするように頼まれていてね。」

「理事長からの依頼ですか?」


と碧が先生に聞き返す。


「ああ、実は、夏休みに行われる魔術祭に出場してほしいそうだ。」

「魔術祭って何ですか?」

「全国から学生の魔術師達が集まって1対1で戦って誰が一番強いのかを競うイベントだ。」


魔術祭は全国から256人もの魔術師が集まり頂点を競う。また、たくさんのスポンサーがおり、優勝すれば、大金を貰うことができる一大イベントだ。


「なぜ、俺たちなんですか?」


と悠が問う。


「君たちなら優勝してくれるだろうと期待しているからだ。」

「別に僕らじゃなくても隣のクラスの唯でもいいんじゃないですか?」


唯は2人の幼馴染みでもあり、去年の中学生の時に全国で1位にもなったことのある実力者だ。


「彼女は出場を決めているし、君たちの実力も見ておきたいそうだ。特に碧、君が6年間海外で身につけた実力を。」


碧は小学生の4年から中学生の3年までの間、魔術発祥の地と呼ばれる国、バンヘイル王国で修行していた。


「まあ、別にいいですけど。」


と碧が答え悠も頷く。


「まずは,学園の代表になるために学内選抜大会で4位以内に入ってくれ」

「分かりました。」


と言い本日は解散となった。


その帰り道で悠が、不安そうに言った。


「出ることになったけど俺たち1年だぞ先輩達に勝てるのかな?」

「勝てなければ先輩達に任せといたらいいんだよ。」


それもありだなと笑い、2人は別れたのだった。

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