無題(仮)

ぽてとさらだ

第1話

「碧、この後どうすんだ?」


  後ろから聞こえてきた声に振り返るとそこにいたのは、幼馴染みの悠

だった。


「今日は特に用事はないから、そのまま帰ろうと思う。」

「だったらこの後ゲーセンよってかない?」

「ああ、いいよ。」


 と頷き、2人とも教室を出ようとした。


「おい待て。そこの2人。なに帰ろうとしてんだ。貴様らは今日補習があることを忘れてないか。」


 と担任の山田が、教室の中から2人を呼び止めようとしていた。

 しかし、その呼び止められている2人は止まる気配がなかった。

 止まるどころか、そのまま帰ろうとしていた。


「貴様ら、先生の話を無視するとは、いい度胸してるな。今なら一発ぶん殴るだけで許してやろう。」


そう言われても聞こえないふりをして帰ろうとする2人だった。


「ほう、私の優しい最後の警告まで無視して帰るのかね。では、貴様らには私からの私刑をプレゼントしよう。」


 額に怒りのマークがついてそうな感じで2人を追いかけにいこうとした。

 その途端に


「逃げるぞ。」


 と冷静に碧が隣の悠に言った。


「了解。」


 2人はそう言って走りだそうとしたが足が動かなかった。


「私の魔法から貴様らは逃げられんぞ。」


 と先生は言いながら2人を捕まえた。

 2人の足が動かなかったのは先生も魔法による妨害があったからだ。

 現代の社会では魔法と呼ばれる不思議な力が普及しており、誰でも簡単に扱うことができるようになっている。

 また、魔術師と呼ばれる職業があり、D級、C級、B級、A級、S級という階級があり、階級によって仕事の難易度が変わってくる。


「さあ、なぜ私から逃げようとしたのか理由を聞いてやろう。」

「先生、俺たちが先生から逃げようとしただって?先生から逃げようだなんて無理に決まってるじゃないですか。」


 と逃げるぞと言った張本人の碧がぬけぬけとそのような言葉を言い放った。


「まあ、そんな理由どうでもいいからこっちに来てもらおう。」


 そう言って先生は2人の首根っこを掴み、引きずりながら空きの教室へと消えて行ったのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る