第8話 信賞必罰 お仕事 3
ゆきが刀を振り下ろした 瞬間突然廊下から騒騒しい銃声と悲鳴が聞こえた
一旦振り下ろすのを辞めたゆき
ドアを見た瞬間 黒服の男がドアを突破って飛んできた
胸元はざっくりといかにも力任せに切ったような跡が痛々しく残っていた
黒服 「くるなー!バケモノ!!」
断末魔のような悲鳴をあげながら叫ぶ
???「おいおい!人を化け物呼ばわりは酷くねぇか!?死刑!!」
何かを切り裂く音が鳴り響いた
ゆき「よもずさんの仲間?ろくでもない人をと組んでるのね?」
皮肉を言いながら2丁のグロックをリロードする
息を切らしながらよもずは答える
よもず「たったしかに...ろくでもない奴じゃ...人に気を使えず...デリカシーもない...じゃがの...」
「それでも...うちのリーダーじゃ...主には勝てん...」
よもずはばたりと倒れ込んだ
ゆきは舌打ちをしグロックをドアの方に構える
ドアの方からゆっくりと進む足音
一歩一歩と着実に進んでくる
外れかけたドアを蹴り飛ばし クマのような体格の男が刀を2本持ち入ってきた
オリジナルは部屋を見回し状況を把握
オリジナル「お前がここのお偉いさんか?にしちゃガキみたいだな?まったく...うちの可愛いどころをこんなふうにしちまって」
「覚悟は出来てんのかよ?」
ゆきの目に映った人物は 明らかな絶望を纏う怪物だった
ゴクリの飲み込み冷や汗が垂れるがグロックの銃口はしっかりとオリジナルに向いていた
オリジナル「準備はいいな?なら死ね」
そういうと手を前に向けた瞬間 雪が6発発砲
オリジナルを狙う訳ではなくその周り 何も無い空間を撃った
鋭い金属音とともに6本のブレードがボトリボトリと落ちる
オリジナルは落ちたブレードを見てニヤリと笑う
オリジナル「お前?見えてたのか?ただ者じゃないな?」
ゆき「そんか小細工は通用しないよ」
笑みも浮かべずたんたんと答える
オリジナル「ならこれは!」
刀を背中の鞘にしまい2丁のリボルバーを引き抜き雪に向かって12発全弾を撃った
ゆきも同じく12発撃った
寸分の狂いもなく銃弾は正面から衝突する
どちらの銃弾も当たることも無く逸れて行った
オリジナルは無言でリボルバーをしまった
そして
オリジナル「お前人間か?」
ゆきを睨みつけた
ゆき「あら?それは私のセリフでもあるけど?」
ふふっと笑いながら答える
オリジナルはおもむろに拳を構える
それをみたゆきは
ゆき「あなた銃弾と拳どっちが有利か分かってないの?」
オリジナル「そりゃあ一般常識だと銃だな?...お前の中ではな?」
「俺の常識とは別物だ」
オリジナルは床を思いっきり殴りつけ床を破壊
崩れていく床
オリジナル「ここは狭い!広い1階でやりあおうぜ?」
ゆき「なんだっ!この力はっ!」
落ちていくオリジナル ゆき よもず
オリジナルはよもずを抱き抱え着地した
ゆきも猫のように軽やかにに着地
オリジナルはゆっくりとよもずを床に寝かせた
ゆきはグロックを瞬時に構えた
ゆき「死ね!!」
2丁のグロックから大量の銃弾が発射される
弾はオリジナルとよもずもろとも襲った
しかし
オリジナル「お前が勝てない理由...それはな?」
ゆきは目を見開き目の前の現実を受け入れることが出来なかった
あれだけの弾を急所に撃ち込んだはずなのに普通に喋ってることに
オリジナル「お前の常識を覆す怪物だからよ」
スクッと立ち上がりゆっくりとゆきの方に振り返る
その目はマスク越しでも分かった
人ならざる者の目をしていた
オリジナルはゆきに向かい一歩一歩進みはじめた
ゆきは一歩一歩後ろに下がる
オリジナル「どうした?何を逃げる?」
ゆき「くるな...!!」
震える声を抑え叫ぶ
オリジナル「そりゃ残念...でも」
轟音ともに床にヒビが入るオリジナルの姿が消えた そして一瞬にしてゆきの目の前に現れる
ゆきはその巨大の前に何も出来ず立ちすくむ
オリジナル「じゃあな」
そう言うとゆきに向かいオリジナルは渾身のデコピンを放った
ゆきは頭に強烈な痛みが走りその場にばたりと倒れ込んだ だが息はある
オリジナルは頭をポリポリとかくと
ゆきを担ぎ よもずを脇に抱え施設を後にした
信賞必罰は世の常 クマさん @hantoukumasan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。信賞必罰は世の常の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます