串カツ屋
都内に美味しい串カツ屋があるというので
友人を連れて食べに行く
電車を乗り継いで右往左往真ん丸線路
ぞろりと降りた駅は社会人で溢れている
これから帰る所だろう
夜の都内は騒がしいけれども、夜の都会に行く電車は空いていた
人気があるからと予約はしてあるし
私は、くるくる周りのネオンを楽しみながら歩く
客引きの居酒屋アルバイトやキャバクラの客引きお兄さん
ああ、お姉さんもいる。同伴らしき女性が壮年の男性と腕を組み歩いていた
昼の顔は死んでいるのに夜の顔は騒がしく、音で耳が痛い
ネオンと同じく輝いて、一瞬、街灯に群がる虫たちを思い出す
ああ、あの人は接待だろうか、ああ、あの人は早くも酔いが回っている
初めてくる場所だが景色は地元と同じだ
脳内に送られる光景が容量を超えそうなところで店についた
隠れ家的でもなくチェーン店的な派手さもなく
ただ看板を照らすライトと人ひとり分の引き戸な入り口
一瞬、 一見さんお断り文句が頭をよぎるが、はと予約してあるのだと気づき胸を撫でおろした
からから扉を開けると仲居さんちっくな人が出迎えてくれる
名前をいい個室に案内された
入り口から見て真正面がカウンター、左側に個室が並ぶ、そんな造りである
もちろん、串カツは美味しい
つまみも上手い、酒もいいが苦手なので気持ち悪くならない程度に肉を貪る
さくさくした触感と舌を刺激するソースの塩梅に好い
今日は満足であった
さて、日付も変わる頃、友人と電車、少しは空いているといいな、なんて話して帰る
もちろん、空いていたので座り乗り継ぎに慌てふためきながら地元に着いた
あのネオン街では光が目の前にあり気にしなかったが
地元の明かりは少ない、いや旅行に行った田舎よりはあるけれど
前に目移りしない代わりに空を見る
群青色に白、ささやかなる星
満腹の腹をさすりながら家路を辿る
とても静かで耳が痛い、満腹でご機嫌、ささやかなネオン
今日も一日お疲れ様
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