山の麓の精神病院

そこは登山で有名な観光地

今日も身が凍えるような気温でも

登山服の人たちは放射熱を考えて

嵩張る荷物を背負い

長い坂道を歩いていた

私は精神病院から出てきたばかりで

格の違いを見せつけられた気分

少しばかり羨ましがる

しかし登山をするのは同好会のような

じじばばばかり

バスでも囀り、うるさくてたまらない

登山ならば帰り道も歩けばいいのに

いや歩いている人もいたな

その人たちは昼間の空色を見て何を思うのだろうか

一番きれいとか、二番目にきれいとか

あそこよりきれいとか、あそこよりきれいじゃないとか

あれより大変だったとか、あれより楽だったとか

疲れたとか、疲れてないとか

趣味だから、趣味にしたいから、とか

私は疑心暗鬼になりながらバスの中で揺れていた

帰り道もあるきゃいいのに

とにかくバスの中でくっちゃべってないで黙ってくれないか

禄でもない医者と話して疲れているんだ

折角の山のふもと、少しばかりの遠出

出かけていて凄いと思わせてくれ

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