第20話 東京デスゾーンⅨ 地下要塞
アキラは背後で物音を聞いた。何かが落ちてくる音だった。最後尾を歩いていたケンは、螺旋階段の上から光点が急速に近づいてくるのを見た。その数は次第に増えていった。
「まずいぞ。背後に敵だ」「早く、扉を閉めろ」ドアの内側にはボタンのような物は無かった。
「時間が無い。先に進もう」4人がドアから離れるとセンサーが反応したのか、ドアは自動的に閉まった。「挟み撃ちになったらおしまいだ」アキラは薄暗いトンネルを進んだ。天井までの高さは2mぐらいしかなかった。このトンネルも作業用の物に違いなかった。
先に進んでも分岐点は無かった。挟み撃ちにされたら万事休すだった。まっすぐ伸びたトンネルはいきなり行き止まりになった。アキラは頑丈なコンクリートの壁を叩いた。厚さは数十センチはありそうだった。このトンネルが未完成のものかもしれないという思いが浮かんできた。もしそうなら一巻の終わりだった。
「行き止まりだ」ケンが言った。「いや。どこかにドアがあるはずだ」「あるとしてもこの行き止まりじゃないわね」ユウコはまわりの壁を調べ始めた。ゼンもケンも壁を調べ始めた。時間が容赦なく過ぎていった。アキラは諦めずに行き止まりの壁を眺めていた。
そして、あることを思いついた。跪いて足元を子細に調べた。このトンネルは地下要塞のほぼ真上にあるとするとドアは行き止まりではないはずだった。
「そうか。ドアは下にあるのか」ゼンも同時に気が付いた。4人は床を探り始めた。そして、行き止まりから2m手前に円形の入り口を見つけた。横にあるスイッチを押すと入り口は音もなく開いた。明かりに梯子が浮かんで見えた。「追っ手が来る。急ごう」アキラは最後に梯子を降りた。遂に地下要塞に侵入した。その最初の場所は工具類を収納する倉庫だった。
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