第4話

翌日の朝、様子を見に来た看護師さんは入院の期間を一週間程度だと教えてくれた。

過去に戻ってきてしまったのだから、頭の中も検査してほしい。そんなことを思いながら、同時にこの状況を受け入れるために好都合だとも思った。


自分に起きたよくわからない事態のことを考えようとしていると昨日の少女が病室の入り口にやってきた。4人部屋であることを気にしたのか、手でこっちに来るように促してくる。

この際、タイムスリップと比べたら、少女のほうにいくことはどうということもないと感じ、素直に応じることにした。


今日になって思う。少女、よく考えると大学1年生くらいの女性を少女というのか怪しいが、とにかくその少女はあどけなさが残るとはいえ「きれい」という言葉が似合う雰囲気だった。


「談話スペースのような場所」に着くと、少女は長い髪をすこし手で整えて、真剣な顔でこう言った。

「あなたの気持ちを成就させる方法を私は知っています。知りたくないですか?」

いかにも怪しい言葉だったが、少しも騙そうという意図は感じられなかった。本物の詐欺師はこういう感じなのかもしれない。

僕が状況をつかめずにいると、ほほえんで、

「といっても、いきなりは信じられないと思うので、少しお試ししてみませんか」

と言った。


僕は少し面白いと思って、

「じゃあ、その話に乗ろうかな」

とこたえた。


「今日の午後にあなたが会いたいと思っている人が来ますから、そのときはいまから言う通りにしてください。お役に立てると思いますよ。」

少女はほほえみつつも、自信のある口調で話しはじめた。

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