花浅葱
valva
花浅葱 ハナアサギ
序章 始まり
それは静かな夜だった。
雪が降りはじめ、
歩幅が小さいのならその分早く進めばいい、きっと日が昇るまでには人里に降りれるだろう。
そうやって雪道を裸足で歩いた私の足はいつの間にか赤く腫れ上がってしまった。なんて痛々しいのか、それを嘲笑うかのように不思議と痛みはない。この感覚は夢なのだろうか、長い長い私の夢だったのだろうか、それが本当ならどれだけ良いだろう。
それともついに感覚さえも失ったのか。
この雪が自分にとって冷たいと感じるのか、暖かいと感じるのか、痛いと感じるのか気持ちいいと感じるのか。
私は分からないままである。
あと日が昇るまで何時間歩き続ければいいのだほう。この身体を
「ーーおい、そこの
ついに体力が限界に差し掛かった時、そんな声が上から降ってきた。
……なんだ。何なのだ、誰なんだ、私に声を掛けるのは。ゆっくり顔を上げると、最初に鬱陶しそうな顔が私の視界に入ってきた。
「そこで死んでくれるなよ、クソ餓鬼。ここは私の通り道だ、死ぬなら此処ではなく、
そうやって彼女は私の手を引いた。
一瞬、裾から見える彼女の陶器のような白い腕が恐ろしく見えた。私の足を
ーーー唾を呑んだ。
彼女が雪のようで、雪が彼女のようで。
なんて、綺麗なのだろうか。
ーーこれが私と
花浅葱 valva @valva_25
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