マイペース×ゆとり
「やああーっ」
今日はマカロっていう後輩と狩りに来ている。
最初は、ちょっと頼りないなぁ、と思っていたけど、意外と積極的で、どこに狩りに行きましょうか!? みたいに言われた時は驚いた。
「さては、バスタに鍛えられたな?」
顎をさすりながら、俺は思った。
バスタは、口調は荒いけど、無駄な事は言わないし、ちゃんとついて行ければ基礎は身に付く。
それに、一日だけとは言え、音を上げずについて行けたんだとしたら、結構スゴいことかも知れない。
スゴいと言えば、ブレッドも、かっとなるクセが抜ければ、頭一つ抜けている。
「今年はかなり豊作かもなー」
目の前で、マカロがコドモドラゴンの攻撃を盾で凌いでいると、スマホが鳴った。
「せ、先輩、スマホが……」
「うん、今確認するー」
ポケットからスマホを取り出すと、緊急クエスト、という文字。
「マカロ、予定変更だ。 街に行こう」
「は、はいっ」
翼竜が暴れている地点の手前で降り立つと、マカロが走った。
「せ、先輩、先に行きます」
「おう、後から行くわ」
身軽なマカロが先に掛けだして応援に向かう。
ちょっとヤバいなー、と思いつつ、徒歩で向かうと、ラザニがアタフタしていた。
「あっ、ライス! 急いで、みんなやられちゃうよ!」
「マジかー」
腕を引かれて翼竜のいる場合へと向かう。
すると、誰かが翼竜に弾き飛ばされるシーン。
次の瞬間、女の子が斧を手に取り、投げつける。
それが翼竜の頭部に命中すると、キーン、という金属音が響き、一瞬動きが止まる。
体が静止し、高度が下がる。
が、すぐに立て直す。
(ここからじゃ届かんしなー)
すると、翼竜の背後に誰かがいる。
マカロだった。
マカロが、高度が下がった瞬間、屋根から飛び降りてしがみついたんだ。
マカロは、剣を逆手に持って、首の付け根辺りを何度も刺す。
刃は通らないが、嫌がっている。
「マカローッ、こっちだー!」
俺は、刀の柄を手に取った。
空中じゃ踏ん張りがきかないけど、マカロが龍を地上に引きずり落としてくれれば、斬れる。
……まあ、鋼鉄が斬れるかはやってみなきゃ分からないけど。
マカロが、盾を相手の顔に被せた。
「ギエエーッ」
翼竜の視界が遮られ、パニックになって乱暴に飛ぶ。
高度を地上ギリギリまで下げて、向かってくる。
俺は、刀を抜いた。
火花が散る。
首が、舞う。
「ふうっ」
翼竜の体は、そのまま動かず、地面に落ちた。
「何か、悔しいわ」
居酒屋で、俺たち5人は打ち上げをしていた。
翼竜の亜種の討伐、その報酬は、一人10万という破格だった。
「何がー?」
バスタの悔しいの意味が分からず、聞き返す。
「だってよ、俺の手斧が通らなかった肉が、ライスの刀だと入ったんだぜ?」
「一撃はライスの方が上ってこと?」
ラザニ、余計なこと言わない方が……
「……まあ、認めるわ」
ぐい、とバスタがビールを飲み干す。
今のでケンカになると思ったけど、セーフみたいだ。
後輩2人がいるからかな?
すると、向こうからブレッドがやって来た。
松葉杖をついている。
ラザニの顔が引きつる。
「ラザニ先輩」
「あ、ご、ごめん」
「ひどいっす。 俺が戦力にならないからって関係ないとこに投げるなんて…… 言ってくれりゃいいのに」
ブレッドは何を勘違いしたのか、そんなことを言った。
「あ、いや、私は」
「ラザニがそんなことするわけねぇじゃん。 単純に、コントロール定まんなかっただけだろ」
バスタが指摘すると、ラザニの顔が赤くなる。
「えっ、そうなんすか!?」
「ご、ごめん」
ブレッドが唖然とている中、バスタが言った。
「それより、マカロ、お前、根性あるじゃねーか。 見てたぜ」
「あ、僕は……」
「恥ずかしがんなよっ」
確かに、今日はマカロが一番頑張ってたかもだ。
でも、ドリーだってちゃんと働いてたし、みんな役に立っている。
俺は、立ち上がって言った。
「みんな、これからもよろしくなー」
おわり
色んな先輩 @moga1212
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