第2話 人生甘くない

「河野!ここミスしてる今すぐ直せ!」

「はい!」

「河野!この仕事今日中にしとけ!」

「はい!」

「河野!まだできてないのか早く仕上ろ!」

「はい!」

「河野!」

「うるせーよ!」

は!咄嗟に目を開けると木の天井があった。

なんだ夢か…酷い夢だぜ、まったく。

少し体を起こすと頭痛がしたそして、同時にさっきの事を思い出した。そういえば何かが落ちてきてそれから…と考えていると隣で誰か寝ているようだ。

そして、頭に電流が流れたように思考が始まった。そういえば俺は異世界転生をしている。この流れ的に隣の人は女性では!

そう、すこしエッチなお姉さん的な人が寝ているのが裸で寝ているはずだ!

生唾を呑みながら慎重に隣の布団を剥いでみる。そして、目の前に映ったのはいい感じに黒く焼けてがっしりとした筋肉が着いた腹筋そして、立派な胸板!おお!ん?……

って「男じゃねーかー!!!!!!」

「んあ?」「うるせーなー」

大声を出してしまったせいで男が目を覚ましてしまった。

「お?兄ちゃん目を覚ましたか」

「いやー、生きてて何よりだ」

「さっきはすまなかったな

つい、手を滑らせて木材落としちまってよハハッハハッハハッハハッハハッハハッノ ヽノ ヽッノ ヽ/ \ッ/ \/ \ッ」

いや、笑い事じゃねーよ、うっかり2回目の死を経験するとこだったじゃねーかと心の中で恨み言を言うと男が表情で分かったのか

「いや、すまんすまん」

「だがよ、ボーッとしてたあんたも悪いぜ?」

は?何いってんの?こいつ

腹が立ったので言い返してやった。

「あんたこそよくも手を滑らせて木材落とすよな」

「ボーッとしてたのはどっちだよ」

「あ?なんだてめぇ喧嘩売ってんのか?」

「あー、そうだよ分からねーか?」

そして、喧嘩が始まる刹那

「やめんか!」

驚き振り返るとこれまたとてもガタイがいいnice guyなおっさんがいた。

「大人がしょーもない喧嘩をしよって。

さあ、飯を作ってある。食え」

「へいへい、わかったよ親方」

そう言って若い男は奥の部屋へ行った。

「ほれ、お主も飯を食いにこい」

「は、はい」

よく分からないが流れで奥の部屋へと足を運んだ。

テーブルにはシーチューやパンなどが置かれてありせっかくなので頂いた。

あいにくお腹は減っていたのでとても美味しい。

ふと、顔を上げると前の席にさっきまで喧嘩してた男が「くー、やっぱり飯は最高だぜ!嫌なことを忘れれる!」と幸せそうに食っていた。

まったくお幸せな奴だきっと頭もお幸せなやつに違いない。

そして、見られているのがわかったのか男がこっちを見て

「お?なんださっきのことまだ根に持ってんのか?飯を食って俺は幸せだからさっきのは忘れよーぜ。お前も飯と一緒に嫌なことも食っちまえよ!」

そうやって上手いことを言ったつもりな顔をしているが普通嫌なことは吐き出すだろと思い、こいつはやはり馬鹿だと認識した。

「俺はトムス仲良くしよーぜ!」と言ってきたので

「俺は河野武志だまあ、なんだ俺もさっきは悪かったな。」と流れで言ってしまった。

まあ、いっか。

と横から親方と呼ばれていた男が

「いや、ウチの者が迷惑掛けて悪かった。

まあ、許してやってくれや、こいつも悪気は無いしあんたを見つけた時トムスはあんたの治療してずっと隣で見ていてくれてたんだ。」

「まあ、もう気にしてないないんで」

「親方!、その事は言わないでくれよ!

恥ずかしいじゃねーか」

そして、俺を見て

「べ、別に俺の責任だからそこまでしたわけであってだな…」

ともじもじして顔を赤らめて言ってきた。

う、一瞬寒気というか吐き気を感じたぜ。

「もう、いいよ気にしてねーよ」

「お、おう」

そして、飯を食い終わると

「じゃあ、世話になったけどまたな」

と言って出かけようとした途端

「待てよ、武志お前どこ行くんだ?」

「ん?どこって…あ…」

そうだここ異世界だ。どうしよこれから

「行く宛ないんならウチで働くか?

親方もいいっすよね!」

「まあ、人手足りないしいーぞ」

「どうする武志?」

俺はここで言う言葉を知っている。

そうそれは!

「ここで働かせてください!」

そうして、俺は大工の仕事をすることになった。

あーあ、異世界転生したのに添い寝してたのは男だし女っ気ゼロじゃん。

能力みたいのひとつも無いし…

やっぱり人生甘くないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生はラノベ通りではない! うまる @umar

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る