第23話 ブリハッドの神学的応用

「一切の存在の中に居住し、一切の存在とは別のものであり、一切の存在が知ることなく、一切の存在を肉身とし、一切の存在を内部から制御するもの、それがあなたのアートマン(真我)であり、不死の、内部の抑制者であります。」

     ブリハッド・ウパニシャッドより


  1、それはどのような存在か


 それが発見されてから、ずっと人類が戦ってきたもの。

 人類を支配しているもの。

 それに備えよと伝承された古代からの警告。

 ヒトの精神と身体を制御しているもの。

 それがヒトの外部にあるのか、内部にあるのか、わらかない。

 目に見えない支配者。

 原因はわからないが、ほとんどどの民族にも伝わっている存在。

 人類の勝ち目のない戦い。

 それはあまりにも強大な存在のため、それと戦うよりも従った方がよいのではないかという意見。

 賢者たちは、それを崇めて従うふりをして、なんとか人類の勝利を得ようとしてきた。

 蚊のような敵。


  2、歴史


 それはさまざまな文献に古代から触れられている。


 古代インドで、紀元前八百年前にブリハッドが「ブリハッド・ウパニシャッド」で。

 古代中国で、伏羲が「易経」で。

 古代ギリシャで、紀元前四百年前にプラトンが「パイドン」で。

 中世インドで、西暦七百年頃にシャンカラが「ウパデーシャサーハスリー」で。

 中世日本で、西暦七百年頃に稗田阿礼が「古事記」で。

 それについて書き記したことは確認されている。

 探せば、もっと多いだろう。


  3、作戦


 味方は多い方がいい。

 人類の全軍をかけて戦うべき。

 人類の全軍をあげて戦うべきなほど、それは強大で人類には勝ち目のない戦い。

 まず、敵を発見することから始めなければならない。

 偵察兵を増やすべきだが、解剖学を習得した兵士しか偵察は期待できない。

 布陣は考えるだけ無駄だ。


  4、戦況報告


 人類が総軍で戦ったのに、勝てなかった。

 あの支配者と戦うのは、また百年後にしようとした。

 宇宙が消滅した、と勘ちがいした。

 賢者がいうには、あれは人類のすべての兵士の精神を操っている。

 人類の賢者がみんなバカに思える。


  5、科学的解明


 科学者は、どこが賢いのかわからない古代の賢者たちが警告していた「ヒトの精神と身体を制御する謎の支配者」は「魂と名付けられていた無意識のこと」だと解明した。

 神の無意識、イエスの無意識、宇宙の無意識、物自体の無意識、コンピュータの無意識、いろいろな無意識が想定されるが、それらへの研究は、空想科学小説家や文学者に任せた方がよいだろうと報告した。

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