第24話 神懸かりの巫女と凡夫
巫女:聞け、凡夫よ。わたしが儒教の神だ。
凡夫:儒教の神ってなんだ?
巫女:儒教の神は正直の神だ。決して嘘をいわない。
凡夫:じゃあ、あんたは何者だ。
巫女:わたしは、神霊が降った振りをする女だ。嘘はいわない。
凡夫:どうすれば神霊が降るんだ。その仕組みを教えてくれ。
巫女:精進料理を食べて、嘘をつくんだ。嘘をつくと神霊が降る。
凡夫:正直の神じゃないの?
巫女:嘘をついたと正直に答える正直の神だ。
凡夫:それの何が楽しいんだ?
巫女:新しく王朝を始めるんだ。まちがって政治家が信じると、国が滅んで、新しい国ができる。それが儒教だ。
凡夫:どんな王朝を作るの?
巫女:儒教の国をやめて、科学の国にするんだ。わたしが最後の巫女になる。
凡夫:国が滅んだらどうするの? みんなが不幸になるんじゃないの?
巫女:わたしたち、儒教の巫女は、たいして賢くないから、よくまちがえるけど、みんなが本気で信じたら、わたしの意見は実現される。けっこういい加減だけど、わたしたち、儒教の巫女は、国を幸せにしたいと思ってるのは本当だから、無責任に演技をする。
凡夫:本当にそれで国が繁栄するの?
巫女:する。コツがある。
凡夫:どんなコツなの?
巫女:儒教の巫女を信じない政治家に任せること。わたしたちの賢さが虚構であることは、わたしたちはよく知ってるから、わたしたちを信じない政治家が賢い政治家だ。
凡夫:そんなんで、よく国がもつね。
巫女:時々、政治家が発狂するけど、必死に演技してごまかしているから。
凡夫:この国の将来が心配だ。
巫女:わたしも心配だ。
凡夫:原儒と儒教はどうちがうの?
巫女:原儒は、夢で天帝が語りかけてくるとか、太陽に異変が始まるとか、神殿での立ち位置で指名を決めるとか、そういうことだろ。本当にそういうことがあったら、わたしたちはそういうし、人生を儒教にかけていると、時々、誰かの巫女にはそういうことが起こるのかもしれない。
凡夫:それでいくつの国を滅ぼしたんだ?
巫女:中国ではすごいらしいね。
凡夫:どうするんだよ、そんなんで。
巫女:今日はこれまで。
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