第8話 3年前からあなたの事を見守っていたけど認識されていないというのは私の影が薄いのが原因ですか

不思議な青いタヌキみたいな生物?に出会った私は、不思議な空間に召されてしまった。


そこで最初に出会ったのが、


「ねえ、あなた大丈夫?」


「は、はい...」


「私はロイヤルペンギンのプリンセス

よろしくね」


目の前の状況がにわかに信じられない。

ペンギンを自称する女の子が喋っている。


「あなた名前は...?」


「...島内梓です」


「梓ちゃん...、どうしてここに来たの?」


その質問に更に戸惑った。


「それは私にもわからないんだけど...」


『ロイヤルペンギン』


「ボス?」


「あっ...」


『君ガ、彼女ト彼ヲ結ブ架ケ橋ダヨ』


「架け橋?」


彼女は首を傾げた。


『アズサ、君ガ悩ンデイル事ヲ、打チ明ケルンダ』


「えっ?悩みなんてそんな...」


『君ガ変ワリタイナラ、今シカナイヨ』


きょとんとした様子で彼女は私を見つめた。


(まさか、この出会ったばかりのペンギンに私の悩みを打ち明けろって言うの...?)


とんだ無茶ぶりじゃないか。

内心そう思った。


『彼ハ、彼女達ノオカゲデ、変ワル事ガ出来タンダ。君モ変ワレルハズダ』


「私は...、でも...」


『ズット昔カラ、彼ヲ見テタンダロ』


無機質の声に、何故か心を揺さぶられた。


『振リ向カセタクナイノカイ?』


「...」


私も、ロイヤルペンギンも、顔を見合ったままt、テレビの音量を消音にした時の様に沈黙してしまった。


その無音に耐えきれなくなったのか彼女は口を開いた。


「梓ちゃんの悩みって...、何なの?」


私はこの訳のわからない状況で、打ち明けようか迷ったが、これが私の悩みが産み出した状況だと仮定するなら...


「実は、私...、好きな人がいるんですっ!」







ドキドキしながら、胸の内を暴露した。


「...それで私が相談に乗ればいいのね」


どうやら彼女は上手くこの状況を理解できた様だ。この青タヌキも肯定するかのように尻尾を振った。


「彼に振り向いて欲しいんです...。

ずっと昔からいたのに、全然気付かないんですよ?」


「...影が薄かったってこと?」


「はい...。

私の存在が彼に認識されてないんです」


「彼があなたを認識しない理由に心当たりはないの?」


「苗字が中学の時までは青柳あおやぎだったからとか...?」


(多分そうじゃないかしら...)

「ともかく、あなたの思いはわかった。

私が彼にあなたの存在を伝えておく」


「あ、ありがとう...」


「因みに...、彼の名前は?」


私は大きく息を吐いて答えた。


「七尾悠です…!」


「オッケー...。その前にあなたも変わりなさい。私が指導してあげるから」


「え?指導...?」


「あなた、自分で思ってる事正直に他人に言えないでしょ?」


まるで心中を見透かしたような台詞で驚いた。


「その特別指導よ!」

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