桜と共に

テニスボーイ

咲き誇れ 努力には一分の無駄もない

「きっと咲く 春になれば桜は花開く」


花の命は儚く、その様は物静かであれ堂々とし咲き誇る。夏に青々とした葉はたくさんの陽を受け栄養を蓄え、冬の厳しい寒さが硬い蕾に力を宿しその日を待つ。花開き満開を彩る時間は短いが人々に至福の喜びを与え春の訪れを想わせる。


・・・とは言うもののとても冷めた乾いた思考になるが、待ちに待った時を感じられるこの瞬間のための尽力は微塵もなく、「生きる」ことの本能が自然の摂理に基づき流れの中で起こりえた事実に過ぎないことと解釈出来る。余計な外的要因をもたらさずとも自然体でいれば成長するものである。ならば選手達は何故必要以上に努力し、酷使し肉体を鍛え上げなければならないのだろう。それは競技であり「ライバル」の存在あってこその競争心から、他の追随からより前に出ようとする意志が肉体的にも精神的にもより強靭なものを求めるが故。。

桜にはライバルがいないのであろう。競争する意識はないのだろう。争わずとも咲き誇るその姿は慎ましくそして何よりも美しく輝いている。


ジュニア諸君の春はグレード大会(ダンロップ選抜、県ジュニア、全国小学生/中学大会、毎トーetc.)が続き、我が愛弟子達は予選からの出場選手がほとんどではあるものの安定して本戦に上がれる実力者もいれば予選で悔し涙を流すことが続く選手など諸々。春だけのことではないが、この時期の大会に向けた日々の実直な姿勢が試されることもあり、みんなの表情は凛とし硬いながらも自信に満ちた挑戦者の目をしていることが嬉しい。

ここまで繰り返してきた日々の練習(レッスン)は決して生易しいものではないだけに早々簡単に終了となる訳にもいかないが、本人のみならず選手を影から見守る父母のご意志もひしひしと感じられることで会場の空気がさらに緊張感を増している。感情を相手に向け表情や言葉に出すことは先ず無いが親同士の高温な感情がカオス状態となって渦巻き、選手以上の熱ささえ感じるのである。勝てば何も問題はないのだが、負けてしまえば「怒り」さえ露になるが無理も無く、その怒りは自身の子供に向けたものに留まればまだしも、時には対戦相手の子供に感情むき出し、稀ではあるが一言二言捨て台詞の親の姿はいただけない。


今日現在、残念ながらまだ「大台」に乗った結果を出せたジュニアはまだいないが大会毎に成長の成果が見られ、本人も自信を付けている選手の笑顔が素晴らしい。夏に向けてシーズン真っ最中。まだまだ「成長途中」であり、私が怒鳴り、ボールを打ち込み、発破をかけることが必要なところと、自然に任せていてもすくすく伸びて行くことと、上手くバランスを考えた「仕事」をして行こう。


「成功(成長)するための失敗をすること」


新年度を迎え、学年が一つ上がり体も心も大きくなるだろう。中学生に上がったジュニア、制服が一回り大きいのは仕方ないこと。その大きさは将来大きく成長するための「余裕」なのだから大きなことを目指そう。目先の失敗を怖がらないで。いつでも私が守るから

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桜と共に テニスボーイ @tennis_boy_0114

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