55ページ

テニスボーイ

エゴこそ個性である

お互い素敵な夢を叶えましょう

一緒に歩いた旅路は果てなく

もう一度輝く星のようにLet me wonder

暗い夜空にまた一つ夢が溢れた

南十字に戯れる星座に願いを

※参考文献として某アーティストの名曲から抜粋


今年もジュニア諸君にささやかながらのサンタクロースを演じる時期も過ぎ、新年を迎える準備を特に何する訳でもなく残すところ僅かとなり、少々焦り気味に本年の「〆」を書き示したく一年前からの出来事を思い出している今日この頃。。

数年来の生徒との「絡み」は時間をかけてきただけに重く太いものになったと自負するも当初から新しい出会い、そして別れ、再開を幾度と繰り返し多岐に満ちた年であったよう。時間と共に変化することは好転であったり暗転であったりすることが、長い付き合いを前提にしていれば「天気」のようなものであり、むしろ楽しいことである。私が本音を言うからこそ相手にも本音で応えてほしく、その「環境(空気)を作る」ことが今年の課題と成果だったと思う。


数年前から実感していることは私の指導者としてのタイプが現在の「スタイル」に適していることである。一生徒の個性を知り、そこに当てはまる言葉や練習方法を探し出し当てはめていく。そこそこ経験は豊富なこともあり知識を駆使しながらピースを探しピッタリしたときには生徒の満足よりも、顔には出さぬが私の達成感が上回るほどかもしれない。多人数のグループレッスンでは手が届かないところを「ギュッと」出来るからこそありがたいことでもある。とは言うものの、全ての受講生と何も問題なく毎回無期限に師弟関係が続くものでもないことは然り。スタートは同じポジション、同じ温度、同じ方向を見て歩いてきた共同体が、時の流れに少しずつズレが生じることはしばしば。。気がついて手を指し伸ばし引き寄せることが幾度と繰り返され、あるときに後ろを振り返ってみると遠く後方に首をうな垂れて覇気のない姿が目に映る。。


自分を変えることが必要なのは「私?」「生徒?」


自問を繰り返す日々が続くこともまた試練と思い受け入れる。選手ファーストを忘れてはいけない。私の仕事と達成感は、選手が求めることであり私のエゴでは意味がないと自分を叱るが、甘ったれたことを繰り返されるとそれにも限界のようなものを感じるからこそ「本音」をぶつけ合いたい。私が目論むコーチングはお互いを知り、認め合う関係を作り上げることであり、これにはやはり共に過ごす時間が必要であるが、その時間一つ一つを大切にしたい。


何よりもありがたいことは私のような自分勝手な考え方の指導に長く付き合ってくれている生徒たち。そして今年も私の門を叩いて共同体が始まったルーキーたち。年を追うごとに出会うテニス人の顔が多くなり、話すことが得意ではないが大好きな私にはこの上なくありがたみを感じる一年であったこと。私は「万能」ではないが想う気持ちは人より深いつもりである。


この人と出会うために千葉に来た(東京出身)

この人と出会うためにテニスをして来た(テニスこそ人生)

この人と出会うために生かされて来た(死なずにここまで)


出会う度にこんなことを考えてしまうのは歳をとったのだろう。。だが、まだまだである。まもなく新しい年を迎え、共に流した今年の汗と涙を笑顔に変える時を向かえる我が愛弟子たち、そして新しいテニス人との出会いとスタートにも心震わされる。糸井栄一、人生55ページ目も「感無量」とまでは行かなくともまずまずのストーリーであったことに感謝である。


数年前まで長きに渡り共にスタッフとして踏ん張ってきたコーチ仲間、一度は離れ離れになったが年に数度ではあるが近況報告がてら飯を食い語らうように。それぞれ、個性が違っているものの「いい味」を持つコーチ適任者ばかり。今同じ場所にはいないが、将来を何度も語り合った中でありこれもまた立場違えど「共同体」である。そんな奴らに共に働いていたときに毎年クリスマス時期にはセーターを送っていたが、懐かしさもあり昨年から恩着せがましく安物のセーターを押し付けている。それぞれのコーチに私が見立てたモノを。気に入ってくれているのかどうかは不安だが、年の瀬にお互い一年のガンバリを労いたく顔を合わせる「大義名分」にはなっているようだ。そしてそれぞれが思い描いた「夢」に少しでも前進しているように。いつまでもずっと続くといいと思う、この関係。

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