第21話 JUDY AND MARYとバンドの可能性
最初に、私がJUDY AND MARYをやっと好きになったのは、解散後間も無くの事なので語るのはやぶさかでは無いのです。しかし、このままではJAMが解散した2001年のミレニアム毎忘却の彼方に置かれそうなのでここに記しておきます。
まず、JUDY AND MARYは何度変遷を遂げるのでしょう。聞く程に、その都度これは同じバンドなのかと首を傾げます。ここ、生粋のファンなら、年代毎に説明出来るでしょうが。ここでは東京ドームでの解散ライブ中に起った、有る出来事を淡々と。
解散ライブのファイナルたる「WARP TOUR FINAL」はDVD以外にも、尺を短くした模様がNHKの土曜深夜にも放送されました。もうしょっぱなから衝撃です、ここまでデジタルな方面を内包していたのかと。デジロック好き諸兄等も鷲掴みされたに違い有りません。
まあファイナルのライブ模様は後述に回すとして。NHKの放送はメンバーのインタビューを含めての内容だったのですよ。
でも何故解散なのか、ただ皆繰り出す言葉がもどかしくて。その雰囲気なら解散せざる得ないと言うべきか…YUKIが抜けて、TAKUYAと恩田快人と五十嵐公太で活動出来るのではと思ったものです。
現に、ファイナルはYUKIとTAKUYAのツインボーカルかと言う程のアレンジに仕上がってるので、まあYUKI抜けても成立するだろうなしか禁じ得ません。
そのファイナルのライブですがただ驚愕です。現時点でも東京ドームのベストライブに入るかと思います。いや、その完成度興奮度たるやBOOWYの解散ライブを超えています。
演奏は、シーケンス有りきの冒頭しょっぱなの「Rainbow Davils Land」においても、TAKUYAのフリーランかと思う程の縦横無尽の闊達ぶりなギターに始まり、恩田快人と五十嵐公太も決して後れを取らず、ここまで開放的な演奏出来ものかと、ここで引き込まれます。今迄YUKIの声で選り好みして、ごめんなさいしか有りません。
そこからは怒濤です。何か今迄MVで聞いて来た、気色の違う演奏で、何が違うのと逡巡しながらも、ファイナルのライブは進んで行きます。
そして後半を更に捲る「The Great Escape」(注.1)において、ジュディマリが別のバンドへと覚醒します。傍目では暴走かなと思う程の気付かない変化ですが、今後未来へののガールズバンドの可能性を示します。YUKIを置き去りにしても、TAKUYAと恩田快人と五十嵐公太が一斉に前に出ます。
それ位ありがちでしょうですけど、この瞬間の前迄はガールズバンドの不文律に徹していました。女子ボーカルの声には決して被らない様にと、アタックも若干ずらしては、ディケイも被らない様に短めにしています。それを、このファイナルでお約束全部吹っ飛ばすかです。もうノックアウトです、これはもう新生JUDY AND MARYだろうと、ただ唸るしか有りません。
どうして、ファイナルの盛り上がりの、敢えてそこでするのでしょうね。このJUDY AND MARYなら、すべからく流石にファンになってましたよ。私以外にもそうだったでしょう。そう、JAMはもっとファンを掴めた筈なのにつくづく勿体無いなとも。
まあ何で、私はジュディマリを敬遠をしていたのでしょうけど。ミレニアム近辺はガールズバンド隆盛でも有り。レベッカの大ブレイクで、その被らない様にもの配慮の上の演奏で、ややマイルドな音楽のフォーマットが出来上がってしまっていたのです。その演奏が引っ込んでる感じで違和感を覚えては、興味がそこそこしか無かったのですよね。
ああ、でもそこはそこで、裏に入った時のボーカルミュート時のオブリがソフィスティケートされては、J-ROCK独特の進化を遂げ、新たな音楽分野の形成に成り立っています。それは女性ミュージシャンの席巻であったり、アイドルの裏拍取りの振り表現であったりします。
勿論、カウンターとしての、全パートごりごりのあるグループも浮上してきます。その経緯の果てのBABYMETALの存在も興味深いものですね。本来なら新生JUDY AND MARYがワールドクラスの座にいたのになとも。恐らく数年後、世界で日本のシティポップス高評価の様に、日本のガールズバンドが世界規模で再考察される筈です。
最期のJUDY AND MARYの動画は、やはりソニーですので有りません。ポカリスエットのCMの「Brand New Wave Upper Ground」でぐっと惹かれ、ジュディマリのMVも雰囲気が好きだった筈のですが、その片鱗すら思いだす事が出来ないなんて、まあ切ないです。どこかのタイミングでYouTubeで公式チャンネル開設して欲しい限りです。
「The Great Escape」(注.1)
バンドの無限の可能性を引き出すきっかけとなった「The Great Escape」。それは私の気のせいじゃないかと言われると、解散後のベストアルバムのタイトルが「The Great Escape −COMPLETE BEST−」なので杞憂では無い様です。アーティスト・スタッフ・ファン思い入れが深い様です。
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